交通事故による慰謝料は、治療期間や後遺症の有無など複数の要因で大きく変動します。特に自転車対車の事故で「過失割合が0:10」とされた場合、被害者側の請求権が強く認められます。今回は、通院2ヶ月、骨折・傷跡・精神的後遺症のあるケースについて、慰謝料の相場や評価ポイントを解説します。
慰謝料の算定方法:3つの基準を理解する
慰謝料には主に3つの算定基準があり、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」に分かれます。
- 自賠責基準:最も低額。日額4,300円×治療日数または実通院日数×2の少ない方。
- 任意保険基準:保険会社が独自に設定。自賠責より高いが交渉によって上下。
- 弁護士基準:最も高額。裁判所の過去の判例に基づく。
被害者側が交渉や弁護士を通じて請求すれば、弁護士基準での慰謝料が期待できます。
通院2ヶ月の場合の慰謝料相場
通院2ヶ月(実通院60日程度)の場合、弁護士基準での慰謝料相場は以下のようになります。
- 入通院慰謝料:30〜50万円(症状や頻度により変動)
たとえば、骨折を伴いながらも2ヶ月で治療を終えている場合は、約40万円程度が一般的です。ただし、骨折の部位や重症度、また通院の実態によっても調整されます。
傷跡と精神的後遺症がある場合の影響
慰謝料には「後遺障害慰謝料」もあり、傷跡(瘢痕)や精神的トラウマが残っている場合には、これが別途加算される可能性があります。
15cmの傷が明確に残っている場合、部位によっては外貌醜状に該当し、後遺障害等級12級または14級が認定されることがあります。また、日常生活に支障をきたすトラウマ(例:自転車に乗れない)が医師によって診断されていれば、精神的障害としての後遺障害も考慮されます。
このような後遺障害が認定されれば、追加で数十万円〜100万円以上の慰謝料が請求可能になります。
未成年に近い年齢の慰謝料への影響
20歳未満であっても、慰謝料の額が「年齢によって下がる」ことはありません。むしろ、若年層に残る傷跡や精神的影響は今後の人生において長く影響を及ぼすため、増額の考慮がされる場合もあります。
特に女性や学生である場合、傷跡による外見的ダメージの精神的影響が強く認定されることがあります。
示談交渉の注意点と弁護士の活用
慰謝料の額を正当に評価してもらうには、示談書を交わす前に弁護士への相談が重要です。加害者側の保険会社は任意保険基準での低額提示を行う傾向があるため、弁護士を通じて交渉することで弁護士基準が適用されることが多いです。
また、法テラスを利用すれば、一定の収入要件を満たす場合に無料で弁護士に相談できる制度もあります。
まとめ:適切な慰謝料請求には後遺症と証拠の整理が鍵
今回のケースでは、2ヶ月の通院に加えて骨折、明確な傷跡、トラウマといった要素が重なっており、通常よりも高い慰謝料額が見込まれます。最低でも30万円台、後遺障害が認定されればトータルで100万円前後も視野に入るでしょう。
大切なのは、後遺症の診断書や治療経過をしっかり記録し、交渉前に弁護士の助言を得ること。適正な補償を受けるためにも、情報と準備が大きな差を生みます。