ディープフェイク動画の視聴は違法になるのか?法律とモラルから考えるAI時代の視聴リスク

近年、AI技術の発展によって簡単にディープフェイク動画が作成できるようになり、とくに有名人の顔をポルノコンテンツに合成した偽動画が問題視されています。本記事では、こうした動画の視聴のみが法的にどのようなリスクを持つのか、現行法と倫理の両面から解説します。

ディープフェイクとは?技術と問題点の基本知識

ディープフェイクとは、AIを活用して人物の顔や音声を本物そっくりに合成する技術です。エンタメや広告などの分野では正しく活用されていますが、ポルノ分野などでの悪用が社会問題となっています。

とくに、本人の同意なしに顔をすり替えるディープフェイクは、プライバシーの侵害や名誉毀損、肖像権侵害などに該当する可能性があります。

ディープフェイク動画を視聴するだけで罪になるのか?

現行の日本の法律において、ディープフェイク動画を「視聴しただけ」で直ちに罪に問われるケースは稀です。視聴行為自体は、現時点で明確に刑事罰の対象とはされていません。

ただし、以下のような条件に該当する場合、法的リスクが高まることがあります。

  • 違法に撮影・加工された動画だと明らかに知りながらアクセスした
  • 有料サイトで違法コンテンツに課金して視聴した
  • 保存・拡散・アップロードに関与した

要するに「視聴=即違法」ではないものの、意図的に違法性の高い行動に加担すれば処罰対象となる可能性があります。

倫理的にはどうか?視聴者の責任を考える

法に触れない範囲であっても、他人の人格を傷つける映像を楽しむ行為自体が、社会的に批判されやすい点は無視できません。とくに被害者が実在の著名人である場合、誹謗中傷や二次被害の温床となることも。

また、ディープフェイクの技術が悪用される背景には「視聴者の需要」があるため、閲覧そのものが問題の温床とされる倫理的な議論も存在します。

国際的な規制と今後の法整備の動き

海外ではディープフェイクポルノに対する規制が強化されており、アメリカの一部州では「本人の同意なきディープフェイクポルノの所持・配布」が違法とされています。

日本でも2023年に「リベンジポルノ防止法」の改正や、AI合成画像に対する法的議論が進んでおり、今後「視聴・ダウンロード」だけでも違法とされる可能性は否定できません。

安心してネットを使うために:個人ができる対策

違法コンテンツをうっかり視聴してしまうことを避けるには、以下のような対策が有効です。

  • 正規の動画配信サービスを利用する
  • 出所不明なアダルトサイトは利用しない
  • 「ディープフェイク」や「○○に似せた」などの文言がある場合は避ける

また、SNSなどで怪しいリンクが流れてきてもクリックしない慎重さが必要です。

まとめ|視聴者の責任は「法」だけでなく「良心」にも問われる

現行法ではディープフェイク動画を視聴するだけで直ちに違法となる可能性は低いですが、今後の法整備や社会的な批判の高まりを考慮すると、安全とも言い切れません。

また、被害者の立場を考えたとき、たとえ見ただけでも間接的な加害者になる可能性があることを忘れないようにしましょう。技術が進化する今だからこそ、私たち一人ひとりのモラルが問われています。

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