結婚後に配偶者の性格や見た目が激変した場合は詐欺になる?法律と現実の境界を解説

結婚生活の中で、相手の性格や外見が「別人のように変わってしまった」と感じる人も少なくありません。では、そのような場合に「詐欺ではないか」と考えることは法律的に成り立つのでしょうか?本記事では、結婚と詐欺罪の関係性、民法上の離婚や取り消しの可能性などをわかりやすく解説します。

結婚における詐欺罪の成立要件とは

刑法上の詐欺罪(刑法第246条)は、他人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。結婚においても、詐欺があったとすれば刑事責任が問われる可能性はありますが、成立するためには「故意に事実を偽って相手を騙した」「相手がそれを信じて結婚した」という要件を満たす必要があります。

たとえば「高収入であると偽って結婚し、実は無職だった」といった明確な虚偽申告があった場合には詐欺が成立する可能性がありますが、性格や外見の変化は詐欺罪に該当するとは限りません。

性格や見た目の変化は法律上の問題になる?

結婚前は穏やかだった配偶者が、結婚後に暴力的になった、極端に無関心になったというケースもありますが、これらの変化が予測できる範囲や生活環境によるものと判断されれば、詐欺とはされにくいのが実情です。

また、見た目の変化(体型が変わった、化粧をしなくなった等)についても、本人の自由や加齢による自然な変化とみなされるため、法的な責任追及は難しいのが一般的です。

民法上の結婚取り消しや離婚の可能性

民法第742条では「詐欺または強迫による婚姻は、取消すことができる」と定められています。ただしここでの詐欺は「婚姻意思の形成に決定的な影響を与える嘘」があった場合であり、たとえば「既婚者であることを隠していた」「子どもがいることを隠していた」など、重大な事実の隠蔽が該当します。

性格や外見の変化については、結婚の時点で虚偽の説明がなされていなければ、民法上の詐欺による取消しは認められないのが通例です。その代わり、結婚生活が破綻している場合には、民法第770条に基づく離婚請求が可能となります。

実例で見る:訴訟で争われたケース

過去の裁判例では、結婚当初に穏やかだった配偶者が結婚後すぐにDV行為を始めた場合などに「婚姻意思の形成に影響を与える事実を隠していた」として、婚姻の取消しが認められたこともあります。

ただし、単なる性格の不一致や外見の変化では、裁判所は「結婚生活の自然な過程」と見なし、法的救済は離婚による解決を勧める傾向にあります。

今後の対応と相談先

配偶者に対して疑念を感じた場合、感情的になる前に家庭裁判所や法律相談センターで無料相談を受けることをおすすめします。地域の弁護士会では、離婚や婚姻に関する初回無料相談も実施しており、法的観点からのアドバイスが得られます。

また、DVやモラハラが疑われる場合には、自治体の配偶者暴力相談支援センターや警察への相談も視野に入れて行動しましょう。

まとめ:性格や外見の変化だけで詐欺は難しいが、他の法的手段はあり

結婚後に配偶者が変わったと感じても、性格や外見の変化のみでは刑法上の詐欺罪が成立する可能性は低いです。しかし、結婚生活に著しい支障が出ている場合には、離婚や婚姻取消しといった民事的な対応が可能となるケースもあります。まずは専門家に相談し、自分の置かれた状況に合った最適な解決策を探ることが大切です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール