被害届を出してから長期間が経過している場合、「まだ捜査されるのか?」「事件は放置されたのか?」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。特に、被疑者が特定されているケースでは、なぜ捜査が進展しないのかが気になるところです。本記事では、被害届の送致後に捜査が行われるまでの流れや、起訴・不起訴までの期間、時効の影響などについて詳しく解説します。
被害届と捜査の関係:送致されたからといって即捜査されるわけではない
まず理解すべきなのは、「被害届が警察に受理され、検察に送致された=すぐに捜査が始まる」わけではないという点です。捜査機関は、案件の緊急性や重要性、証拠の有無などを踏まえて優先順位を決定しています。
例えば、被害額が小さい窃盗事件などの場合、他の重大事件の捜査が優先され、捜査に着手するまで時間がかかることがあります。
送致から時間が経っても捜査される可能性はある
被害届の送致から1年程度経過していても、捜査が打ち切られていなければ、着手される可能性はあります。特に被疑者が特定されている案件では、証拠の追加や事情聴取の準備などの関係で時間がかかることも。
また、担当の検察官が捜査を指揮している場合、警察からの報告や補充捜査の指示が継続的に行われているケースもあります。
事件の時効が捜査に与える影響
多くの犯罪には公訴時効が設定されています。例えば、窃盗罪は7年、暴行罪は3年などです。したがって、時効に達する前であれば、理論上はいつでも捜査を開始・再開することが可能です。
しかし現実には、時効が近づくと証拠が失われるリスクが高くなるため、時間が経つほど捜査が消極的になる傾向があります。
告訴と被害届の違いが影響することも
被害届はあくまで「被害に遭った事実を警察に知らせる」ためのものであり、告訴とは異なります。刑事告訴は「処罰を求める意思」が含まれ、検察がより強い義務感を持って対応する性質があります。
したがって、被害届の提出から時間が経っても進展がない場合、告訴状の提出を検討するのも一つの方法です。
実例:送致から1年以上経過した後に逮捕されたケース
実際に、ネット詐欺やストーカー事案などで「被害届が出されたものの、証拠不足で長期間放置されていた」案件が、ある日突如として逮捕に至ることがあります。これは、SNSの投稿や防犯カメラ映像が新たに発見され、捜査が再開された結果です。
こうした事例は、警察や検察が「完全に事件を放置しているわけではない」ことを示しています。
まとめ:1年経っても油断は禁物、問い合わせと記録保持が鍵
被害届が送致されて1年以上経過していても、捜査が行われる可能性は十分にあります。時効前であれば法的には問題なく、また新証拠があれば進展するケースもあります。
進展が見られない場合は、所轄の警察署や検察庁に進捗を問い合わせたり、正式な告訴を検討したりすることで、動きがあるかもしれません。事件の記録や証拠を整理し、何か進展があったときにすぐ対応できるよう準備を整えておくことが大切です。