深夜に響き渡る爆音バイク、危険運転、そしてノーヘルなどの違法改造車。これらに対して怒りを感じる人は少なくありません。しかし、いくら相手が違法行為をしていたとしても、感情に任せた過剰な反応は思わぬトラブルや法的リスクを招く可能性があります。この記事では、違法走行に対する適切な対応と、どのような行為が逆に犯罪になり得るかを解説します。
違法改造や暴走行為は当然ながら違法行為
まず確認すべきは、暴走行為自体が明確に法律違反であるということです。暴走族や騒音バイクが行っている行為には以下の違反が含まれる可能性があります。
- 道路交通法違反(騒音運転・信号無視・無免許など)
- 道路運送車両法違反(違法改造)
- 軽犯罪法違反(公共の秩序を乱す行為)
これらは警察の取り締まり対象であり、地域によっては通報があれば即対応してくれる場合もあります。
物を投げる行為は「過剰防衛」や「傷害罪」の可能性も
いくら相手が違法行為をしていたとしても、物を投げる、威嚇する、追いかけるなどの行為は「自己防衛の範囲を逸脱した違法行為」と見なされることがあります。
たとえば、瓶や石などを投げてしまうと、以下のような罪に問われる可能性があります。
- 暴行罪(相手に当たらなくても)
- 器物損壊罪(車両に傷がついた場合)
- 傷害罪(運転手に怪我をさせた場合)
- 過失致傷・危険行為致傷
被害届が出された場合、たとえ相手が暴走族でも加害者扱いになるリスクがあります。
通報・証拠記録という冷静な対応が最も有効
実際に違法改造バイクや暴走行為を目撃した際には、感情に任せず次のような対応が望まれます。
- スマホで動画や写真を撮影(可能であればナンバーも)
- 日時・場所・人数などを記録
- 警察に通報(110番または最寄りの交番)
警察が来るまでに証拠を確保しておけば、後日対応を求めることができます。特に繰り返し暴走がある場合は、地域住民と連携して自治体や警察へ働きかけるのも有効です。
過去の判例に学ぶ:違法行為への私的制裁は許されない
過去には、騒音に怒った住民が自作のスパイクやロープを使って対抗し、逆に殺人未遂罪や傷害罪で有罪となった例もあります。正義感や怒りからくる行動が、結果として「加害者」とされることは決して少なくありません。
「正義の行動」だと自分が思っても、法的には暴力や威嚇は許容されないという認識を持つことが大切です。
まとめ:法律を味方につけて、安全かつ正当な対処を
違法改造バイクや暴走族への怒りは理解できますが、物を投げたり直接対抗することは非常にリスクが高く、自身が加害者になる恐れすらあります。通報や証拠収集といった冷静で法的に認められた手段を使うことが、最も安全で効果的な対応策です。自身と周囲の安全を守るためにも、感情的な行動は避けましょう。