美容医療やエステで施術を予約したものの、やむを得ずキャンセルしたいというケースは少なくありません。特に「先払い・未施術・キャンセル拒否」といったトラブルは相談件数も多く、消費者側が泣き寝入りする必要はない場合もあります。ここでは、シミ取りのような自由診療系サービスを予約後にキャンセルしたい場合の法的整理と具体的対応方法を解説します。
■「クーリングオフ不可」と言われた場合の整理
医療機関や美容医療クリニックでの施術契約は、原則としてクーリングオフの対象外とされています。
ただし、契約形態によっては特定商取引法(エステ契約)や消費者契約法が適用される可能性があります。
■契約金額が5万円未満でも返金を求める余地はある
特定商取引法における「エステティックサービス契約」は、1ヶ月超・5万円超が適用条件ですが、消費者契約法による取消しや錯誤無効といった一般的な民法上の権利は金額に関係なく適用されます。
たとえば「施術を受けていない」「キャンセル料の説明が不明瞭」「特別価格でキャンセル不可と書面に明記していない」などの要素がある場合、返金を求める正当性があります。
■「施術していない」のが重要なポイント
サービス提供が未了であること(施術を一切受けていない)は、契約の解除や返金交渉において非常に有利な材料となります。
この場合、「先払いした金額が施術の対価として成立していない」と主張できる余地があります。
■対応策:泣き寝入りせずにまずは交渉と相談
- まずは契約時の書面や同意書の内容を確認
- 店舗に対して書面またはメールで返金要望を正式に申し出る
- 対応が不誠実であれば消費生活センター(188)へ相談
- 金額に関わらず法テラスや弁護士の無料相談も活用可能
電話対応だけでなく、証拠が残る形での通知が望ましいです。
■実例:5万円未満で未施術、返金に成功したケース
ある女性はシミ取りレーザーのキャンペーン価格3万円をカード決済後にキャンセルを希望。店舗から「特別価格のため返金不可」と通告されましたが、消費生活センターに相談→担当者が店舗に照会→半額返金に応じてもらえたという事例があります。
これは、事前の契約説明に不備があったことと、未施術という点が評価されたケースです。
■まとめ
・シミ取りなどの美容医療でも、未施術かつ契約書にキャンセル不可の明示がない場合は、返金を求める余地があります。
・金額が5万円未満でも、消費者契約法や民法の一般原則に基づく主張は可能です。
・まずは契約内容の確認と、証拠を残しながら冷静に交渉を進め、困ったら消費者ホットライン(188)へ。
・泣き寝入りせず、正当な手続きを踏めば回収の可能性は十分あります。