交通事故によるケガで家事ができなくなった場合、主婦にも休業損害が認められるケースがあります。しかし、保険会社の提示額が妥当かどうかは判断が難しい点もあります。本記事では、主婦の休業補償の考え方や補償範囲、実際の事例をもとに詳しく解説します。
■主婦でも休業損害は請求できる
主婦(専業・兼業を問わず)は、「家庭内労働も経済的価値を持つ労働」として休業損害の対象になります。たとえ収入がなかったとしても、家事ができなくなった分について補償を受けることが可能です。
裁判基準(赤い本)では、1日あたり約7,100円(令和6年現在)が目安とされます。保険会社の提示額がこれよりも大きく下回る場合は、再交渉を検討すべきです。
■休業日数の認定基準とは?
通院日数=休業日数と誤解されがちですが、休業日数の認定は以下のように判断されます。
- 通院日数だけでなく、日常家事が制限された期間が考慮される
- 実際の通院がなくても、治療の必要性が認められる期間であれば休業扱いに
- 最初の1ヶ月のみの支払いは不十分なケースが多い
たとえば、93日の通院日数がありながら14日分の休業補償しか提示されない場合、それは不十分である可能性があります。
■人身傷害補償保険の特徴と限界
今回のように、任意保険の人身傷害補償保険での対応となる場合、実際の損害額に応じた支払いが原則となります。つまり、過失割合に関係なく補償が受けられる仕組みです。
ただし、人身傷害補償でも保険会社の裁量が大きいため、一方的な提示額を鵜呑みにしないことが重要です。
■実例:主婦が納得できる補償を受けたケース
事故で肩を骨折し、全治3ヶ月の専業主婦がいました。当初、保険会社は20日分しか休業を認定しませんでしたが、家事の負担を記録し、医師の診断書や日記を提出した結果、60日分の休業補償が認められたという実例があります。
証拠をもとに粘り強く交渉することで、納得のいく補償を得られる可能性が高まります。
■不服がある場合の対処法
- まずは保険会社に再提示を依頼する
- 交通事故専門の弁護士に相談(初回無料の事務所も多い)
- 弁護士費用特約があれば、それを使って相談・交渉が可能
自分ひとりで悩まず、専門家を活用することで適切な補償を受けやすくなります。
■まとめ
・主婦でも家事ができなくなった期間は休業損害の対象
・人身傷害保険でも、休業補償の提示内容に納得がいかない場合は再交渉可能
・医師の診断書や家事への支障の記録が交渉材料になる
・不服があるときは、弁護士への相談や費用特約の活用を視野に入れよう