街中で「かっこいい」「素敵だな」と思う人を見かけたとき、ついスマホで写真を撮りたくなることもあるかもしれません。しかし、その撮影が無断かつこっそり行われた場合、法律上の問題になる可能性があります。この記事では、無断撮影がどのようなリスクを伴うのか、肖像権やプライバシーの観点から詳しく解説します。
●公道での撮影自体は違法ではないが…
公道や駅などの公共の場所であっても、人の顔が明確に写っている写真を“無断で”“意図的に”撮影した場合、肖像権やプライバシー権の侵害として法的トラブルになる可能性があります。
つまり、撮るだけなら「即違法」とは限りませんが、「バレないように撮った」という意図そのものが不審行動と判断されるリスクがあります。
●肖像権の侵害とは?
肖像権とは、「自分の顔や姿を無断で撮影・利用されない権利」のことです。民法上の人格権として保護されており、有名人・一般人を問わず誰にでも適用されます。
撮影だけでも、相手に不快感を与えた場合や、悪意ある方法だった場合には、損害賠償請求の対象になることがあります。
●アップロードしなくても罪に問われることはある?
「ネットにはアップしていないから大丈夫」と思う人もいますが、それは必ずしも安全とは言えません。
たとえ撮影後に公開していなくても、被写体本人が不快感や恐怖を感じれば、「プライバシー権の侵害」や「迷惑防止条例違反」に該当する可能性があります。
●都道府県によっては「盗撮」とみなされるケースも
迷惑防止条例は都道府県ごとに定められており、「相手に気づかれないように容姿を撮影する行為」を「盗撮」として処罰対象にしている地域もあります。
例として、東京都や大阪府の迷惑防止条例では「衣服の上からでも、本人の承諾なしに隠し撮りすれば違法」と判断されることがあります。
●実例:実際に問題になったケース
【例1】通勤途中で通行人女性を隠し撮り→後に通報されて警察が介入、厳重注意と記録保持
【例2】駅構内でスマホをカバンに忍ばせて撮影→迷惑防止条例違反で略式起訴、罰金刑
まとめ:無断撮影は「撮っただけ」でもトラブルの火種
街中での無断撮影は、たとえアップロードしていなくても、肖像権や条例違反に問われる可能性がある行為です。
「撮る前に声をかける」「記録を残さない」「個人を特定できない形で撮る」など、相手への配慮が大前提。スマホの手軽さゆえに越えてしまいやすい一線を、法律とモラルの両面から意識しておくことが大切です。