刑事裁判で「懲役10ヶ月、執行猶予なし」と検察側が求刑した場合、その後の判決が実刑になるのか、それとも執行猶予が付くのかは多くの方にとって重要な関心事です。特に初犯や前科が軽微な場合、実際の判決がどうなるのか不安に感じることもあるでしょう。この記事では、実刑と執行猶予の違いや、判決の見通しを左右する要素について詳しく解説します。
検察官の求刑に「執行猶予」は付かない?
一般に、検察官の求刑に「執行猶予」が付くことはほとんどありません。求刑は検察官がその事件に対して「この程度の処罰が適当である」と主張するものであり、裁判官が判断する前提の“上限”のような位置づけです。
たとえば「懲役10ヶ月(執行猶予なし)」という求刑が出た場合でも、裁判官が情状などを考慮し、最終的に執行猶予を付ける可能性は十分にあります。
執行猶予が認められる主な条件とは
日本の刑法では、懲役3年以下の判決であれば、条件を満たせば執行猶予が付される可能性があります。執行猶予の有無を判断する際には、以下のような点が重視されます。
- 被告人が初犯か否か
- 反省の態度が見られるか
- 被害弁償・示談が成立しているか
- 犯行の動機や計画性
- 社会的信用や生活基盤の有無
初犯で反省の意を示しており、社会復帰の可能性が高いと判断されれば、執行猶予が付く判決が出る可能性は高いです。
前科がある場合はどう評価される?
「交通前科があるが実質初犯」というケースは多く見られます。ここで重要なのは、その前科が「執行猶予付き」だったか、「罰金刑」だったかなど内容です。
罰金刑や交通違反(例:過失による軽微な事故)であれば、重大な前歴とは見なされないことが多く、執行猶予が付く判断に大きな支障とはなりにくいと考えられます。
弁護側の主張が重要な理由
裁判で被告人の量刑を左右する要素として、弁護人の主張と証拠の提示が非常に重要になります。特に、情状酌量の余地があることや、再犯防止への具体的な努力(職業の安定、家族の支援など)を丁寧に説明することが、執行猶予獲得の大きな材料になります。
「執行猶予3年」を弁護側が主張している場合、実際にその主張が採用されるケースも珍しくありません。
実際の判決がどうなるかの見通し
判決はあくまで裁判官の裁量に委ねられますが、求刑=判決ではないという点は大前提です。初犯、反省、社会復帰の意欲が見られ、重大な被害や悪質性がなければ、執行猶予付き判決が下される可能性は十分にあります。
実際に「懲役10ヶ月(求刑)」に対して「懲役10ヶ月・執行猶予3年(判決)」というケースは過去にも多数存在します。
まとめ:冷静な準備が将来を左右する
検察官の求刑に執行猶予が含まれていなくても、それは「実刑が確定」という意味ではありません。裁判官は事件全体の事情を総合的に判断し、必要があれば執行猶予を付すことができます。
重要なのは、弁護側が的確な主張を行い、被告人が誠実に反省の意を示すことです。実刑か執行猶予か、その分かれ道は裁判前後の行動によって大きく変わる可能性があることを理解しましょう。