民事トラブルがこじれた際、相手から簡易裁判所に調停を申し立てられることがあります。ある日突然「調停期日呼出状」が届き、驚かれる方も多いでしょう。なかには、「行かなかったらどうなるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。本記事では、民事調停に出席しなかった場合の影響や調停不調の扱いについて、法律実務の視点から詳しく解説します。
民事調停とは?目的と位置づけ
民事調停は、裁判所を通じて紛争を話し合いによって解決する手続きです。裁判とは異なり、調停委員(法律と民間の専門家)が中立の立場で仲介し、双方の合意を目指します。
あくまで任意参加の話し合いの場であるため、出席は法的義務ではありませんが、出席しないことによる一定のリスクも存在します。
調停に出席しないとどうなる?
調停に欠席し続けると、調停は「調停不成立(調停不調)」として終了します。裁判所から再三呼び出しがあっても無視を続けると、形式的に不調となるだけで、強制的に出席させられることは原則ありません。
しかし、以下のような点には注意が必要です。
- 調停不調後、相手が訴訟提起に移行する可能性がある
- 訴訟に移った際は、欠席が不利に働くおそれがある
- 裁判所に「協議の意思がない」と見なされる可能性がある
実際の調停不調後の流れと影響
調停が不成立となった場合、申立人(相手)は民事訴訟を起こすことができます。訴訟では、証拠や法的主張に基づいて判決が下され、場合によっては支払い命令などが出される可能性もあります。
一方で、調停に出席していれば、妥協点を探る余地があり、訴訟よりも柔軟かつ円満な解決が見込めたケースもあるため、完全無視は慎重に考える必要があります。
調停に出席すべきか?判断の基準
以下のような観点から、出席を検討するのが望ましいです。
- 相手との関係を悪化させたくない
- 内容に一部納得できる部分がある
- 調停委員を通して冷静な話し合いができる可能性がある
- 後の裁判で「対話の意思がない」と不利に扱われたくない
調停は裁判に比べて非公開かつ柔軟な場です。出席することで得られる情報も多く、損にはなりにくいと言えるでしょう。
弁護士への相談は早めに
調停の出欠判断に迷った場合、一度でも弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が同行することで精神的にも安心感があり、調停委員とのやり取りもスムーズになります。
費用が心配な場合は、法テラスや市区町村の無料法律相談を活用する方法もあります。
まとめ:調停の出欠は自由だが戦略的に判断を
民事調停は強制ではないため、出席しなくても法的制裁はありません。しかし、その後の訴訟リスクや印象面を考えると、無視することが必ずしも得策とは限りません。
もし内容に納得がいかない場合でも、出席して自分の意見を述べる場とすることで、調停を有利に進めることも可能です。
判断に迷うときは、法律の専門家とともに方針を検討することが、納得のいく解決への近道です。