相続人が配偶者と子2人の計3人で、不動産が主な相続財産の場合、「一次相続ですぐに売却して現金化し、相続税だけで清算したほうが得では?」と悩むのは自然な疑問です。本記事では、相続後の売却にかかる税金負担と特例を比較し、現金化のタイミングごとのメリット・デメリットを整理します。
ポイント①:一次相続時に売らないと評価額が低い
相続税の計算では時価ではなく「相続税評価額」に基づき課税され、不動産は現金より評価が低く抑えられるため相続税負担を軽くできます。
しかし所得税(譲渡所得税)は相続後に売却した場合、取得費は相続税評価額ではなく、被相続人の取得費+相続税の取得費加算特例により調整されます:contentReference[oaicite:0]{index=0}:contentReference[oaicite:1]{index=1}:contentReference[oaicite:2]{index=2}:contentReference[oaicite:3]{index=3}:contentReference[oaicite:4]{index=4}:contentReference[oaicite:5]{index=5}:contentReference[oaicite:6]{index=6}。
選択肢別・税負担の比較イメージ
売却タイミング | 税種 | 負担概算 |
---|---|---|
一次相続時に現金化 | 相続税のみ(評価額基準) | 評価額が低いため相続税軽減 |
相続後3年以内に売却 | 相続税+譲渡所得税(取得費加算特例適用) | 譲渡時の利益減税&税率低い |
3年超で後売却 | 相続税+譲渡所得税(特例なし) | 取得費が相続税評価額→譲渡利益拡大の恐れ |
どう選ぶか?シミュレーションと実例
たとえば5000万円相当の不動産を評価額3200万円で相続した例。
一次で売却すれば相続税は抑えられるものの、売却益(実売4000万円–取得費3200万円)が800万円。これに20%超の税率なら160万円超の所得税がかかります。
取得費加算特例を使える3年以内の売却なら、相続税分を取得費に上乗せして譲渡所得を圧縮できる可能性が高まります。
選ぶ基準と注意点
- 一次相続時に特例なしで売却するなら譲渡時の税負担を含めて試算する
- 3年以内売却+取得費加算特例の活用が最も節税効果が大きい
- 3000万円控除が使えない築古物件では、現金化が有利なケースもあり得る
- 売却タイミングや相続人間の合意形成も重要
まとめ:現金化のベストタイミングはケースバイケース
一次相続時の現金化は相続税負担の軽減に有利ですが、譲渡時の譲渡所得税負担を含めたトータル試算が必要です。特に3年以内の売却で取得費加算特例を使える場合は節税効果が高く、積極的に検討すべき選択肢となります。
不動産評価額や想定売却額、家族構成などを踏まえて、税理士への相談や具体的試算をおすすめします。