高齢者が警察で告訴の意思確認を受ける際、記憶の補助としてメモを活用する場面があります。この記事では、告訴人本人がメモを見ながら意思を伝えることの可否や、代理人を選任した場合の法的な観点についてわかりやすく解説します。
告訴における意思表示の重要性
刑事事件において告訴とは、被害者などが加害者の処罰を求めるために、捜査機関に意思を表明する手続きです。これは厳格な法律行為であり、告訴人本人の意思が明確に伝わることが前提となります。
たとえば詐欺や傷害事件などで「処罰してほしい」という明確な意思が警察に伝わらない場合、告訴が成立しないこともあります。そのため、本人の意志の明瞭性は極めて重要とされます。
メモを見ながら話すのは許される?
高齢者や記憶力に不安のある人が、事実関係を正確に伝えるためにメモを参照すること自体はまったく問題ありません。むしろ、曖昧な発言を避けるために記録を見ながら話すことは警察側にも歓迎されるケースがあります。
ただし、メモを丸読みするだけで「自分の言葉で話していない」と判断されると、告訴の意思確認が不十分とされる可能性があります。警察側から「あなたの意思で間違いありませんか?」という質問には、しっかり口頭で答える必要があります。
代理人選任とその意味
高齢者が体力的・精神的な理由から手続きを代理人に任せることは可能です。たとえば弁護士や信頼できる家族が告訴の準備や相談を支援できます。
しかし、告訴状そのものは本人の署名と押印が必要であり、警察での意思確認の際も基本的には本人による直接的な回答が求められます。代理人は補助的役割にとどまります。
実例:メモを活用してスムーズに意思表示したケース
80代女性が詐欺被害に遭った際、記憶が曖昧な部分を補うために、家族と一緒に事実の流れをメモに整理して持参しました。警察官の質問に対しては自身の言葉で答え、必要に応じてメモを見返すことで、正確な情報を伝えることができました。
このケースでは、メモが意思確認を妨げるどころか、むしろ内容の正確性を高め、スムーズな手続きに役立ったと評価されました。
警察との対応時に気をつけたいこと
- 本人の意思を明確に言葉で伝える姿勢が大切
- 事実や日時などの確認のためのメモは有効
- 代理人の発言が主導にならないよう注意
- 警察の質問には必ず本人が回答する
たとえば、「これが私の意志です」と明言できるように準備しておくと、手続きが円滑に進みます。
まとめ:メモは有効、だが「本人の意志」が最優先
高齢者が警察で告訴の意思確認を受ける場面では、メモを活用することは適切かつ実用的な手段です。ただし、告訴はあくまで本人の明確な意思表明であることが大前提となるため、代理人の存在や補助があっても、最終的には本人の言葉が重要となります。
しっかりと準備し、不安があれば専門家に相談することで、安心して手続きを進めることができるでしょう。