近年、夫婦別姓に関する議論が活発化していますが、それに伴い「女性側の家に男性が入る」いわゆる同居結婚の形式も再注目されています。本記事では、将来的に夫婦別姓が認められた場合の同居結婚のスタイルについて、姓・住所・戸籍の観点から丁寧に解説します。
夫婦別姓が実現したら何が変わる?
現在の日本の法律では、婚姻時にどちらかが姓を変更する必要があります。夫婦別姓制度が実現すれば、結婚してもお互いが自分の姓を維持できるようになります。
これにより、姓の変更による戸籍上の手続きや、仕事・学歴・資格の記録などの変更が不要になり、特に女性にとっては負担の軽減が期待されています。
住所の移動と姓の維持は両立できる?
夫婦別姓が可能になれば、男性が住所を女性宅に移して同居しても、姓はそのまま保持できます。これは法的に何の問題もありません。
つまり、「男性は姓を変えずに、女性の実家に移り住んで結婚生活を始める」ということが制度上も自然にできるようになります。これは、現代的なライフスタイルを望むカップルにとって合理的な選択肢と言えるでしょう。
「婿入り」と「同居結婚」は何が違う?
「婿入り」は、戸籍上も女性側の家に入ることを意味するケースが多く、婿養子となる場合もあります。これは、家督相続や家系維持の観点から日本ではよく見られる形式です。
一方で、夫婦別姓かつ住所だけ女性宅というケースでは、婿養子や戸籍の移動とは関係なく、あくまで結婚生活の形としての「同居」が成立します。
戸籍と世帯の違いを理解する
「戸籍」と「世帯」は混同されがちですが、意味は異なります。戸籍は身分関係を記録するものであり、結婚すると基本的に新しい戸籍が作成されます(夫婦別姓制度の設計次第では例外あり)。
一方、「世帯」は住民票上の生活単位であり、同一住所に住んでいれば一つの世帯とすることも、別々に世帯を分けることも可能です。つまり、住所が同じでも戸籍は別という状況は十分にあり得ます。
実際のケーススタディ:夫婦別姓で女性の家に住む
例として、女性が実家で親と同居し、結婚後も家を出たくない場合。男性が女性の家に転居し、婚姻届を出して夫婦別姓が認められていれば、それぞれの姓を保持したまま家庭を築くことができます。
このとき、女性は戸籍上も住所も変わらず、男性は姓を変えずに住所のみ移動することになります。戸籍も、新しい戸籍を作成して独立させることが一般的になると考えられます。
まとめ:柔軟な家族のかたちが実現可能に
将来的に夫婦別姓が実現すれば、男性が女性宅に移り住む同居結婚も、姓や戸籍にとらわれずに可能になります。これは婿養子とは異なり、形式に縛られない新しい家族のスタイルとして広がる可能性があります。
制度が整えば、「姓はそのまま、住まいは女性宅、戸籍は独立」といった柔軟な選択が可能になります。時代に即した婚姻のかたちを考える上で、今後の制度改正には注目しておきたいところです。