日常生活の中で、街路樹が交通の視認性を妨げる場面に遭遇したことはありませんか?特に公共施設と幹線道路の接続部において、剪定が行き届かずに事故リスクが高まるケースは、見過ごせない安全上の問題です。今回はそのような場面における行政の責任や、私たちが取るべき具体的な行動について解説します。
街路樹の管理責任は誰にあるのか
街路樹の設置場所によって、管理責任者は異なります。通常、県道に面した街路樹であれば県土木事務所や道路管理課が、国道であれば国土交通省が所管することになります。自治体によって異なる場合があるため、まずは該当地域の役所や道路管理者に確認することが重要です。
たとえば、ある県では道路法に基づき街路樹も含めた道路附属物を道路管理者が維持管理することが定められており、視界を遮る枝の剪定も定期的に行う義務があります。
剪定が遅れることで発生する安全リスク
街路樹の枝が繁茂し、出入り口から車道の様子が見えなくなると、交差点での出会い頭の衝突事故などにつながる恐れがあります。特に高齢者施設や保育園などが近くにある場合、そのリスクはさらに高まります。
実際、2023年に某市で発生した事故では、剪定が遅れた街路樹が視界を遮り、自転車と車の衝突事故が発生しました。事故後、家族が行政に問い合わせたことで、管理不備が明らかになり、剪定作業が急ピッチで行われました。
行政への通報と対応の流れ
街路樹による視界不良が確認できたら、速やかに自治体の道路管理課に通報しましょう。電話だけでなく、状況を写真に撮り、メールで送付することでより迅速な対応を促すことができます。
通報時には以下の情報を伝えるとスムーズです:
- 具体的な場所(住所・地図・目印)
- 視界不良の程度や事故の危険性
- 発生時間帯や交通量の多さ
事故が発生した場合の行政責任はどうなる?
街路樹の管理不備が原因で事故が発生した場合、管理者に過失が認められる可能性があります。民法第715条により「施設の設置や管理に瑕疵があった場合、管理者に損害賠償責任が生じる」ことが定められています。
ただし、行政の過失を立証するには、被害者側が「通報歴」「対応の遅れ」「予見可能性」などを証明する必要があるため、弁護士や法律相談を活用するのが現実的です。
事故を未然に防ぐ市民の役割
通報は誰でもできる市民の重要な行動です。見過ごされた危険を知らせることが、結果的に事故の予防につながります。また、地域の交通安全協議会や自治会でも情報を共有することで、問題意識が広がり行政への働きかけも強まります。
一人ひとりの通報が、より安全なまちづくりの第一歩となります。
まとめ:早期通報と記録が鍵。問題があれば声を上げよう
街路樹が視界を遮るなど、安全を脅かす状態を放置すれば、重大な事故につながる可能性があります。まずは管轄部署への通報、写真や証拠の記録、そして必要に応じた法的相談が有効です。
行政に責任を問う前に、市民としてできる行動を一つずつ実践していくことが、結果として地域全体の安全につながるでしょう。