自己破産後に障害年金の遡及支給を受けた場合の扱いとは?財産と取り扱いの法的整理

障害年金の遡及支給は、請求が認められれば過去5年分までまとめて支給される制度ですが、自己破産を経験した方にとっては「そのお金は差し押さえられないのか?」という疑問が生じがちです。この記事では、障害年金の遡及支給と自己破産後の財産管理に関する法的な位置付けについて解説します。

障害年金の遡及支給とは?

障害年金は、障害の状態が認定された日まで遡って請求できる制度です。過去に遡って最大5年分の年金が「遡及支給」として一括で振り込まれることがあります。この支給分は、あくまで過去にさかのぼって本来受け取るべきだった金銭という扱いです。

例えば2024年に請求が通り、2020年からの障害認定があれば、2020年〜2024年分の年金をまとめて受け取ることが可能です。

自己破産との関係:免責と財産の取り扱い

自己破産において重要なのは、「免責決定」が下りると、破産者の債務は法的に帳消しになります。ただし、破産手続き中に得た収入や財産は原則として「破産財団」に組み入れられる可能性があります。

しかし、免責確定後に得た財産については、原則として債権者が差し押さえることはできません。よって、障害年金の遡及支給が「免責確定後に認定・支給された」ものであれば、そのお金はあなたの財産となり、原則として差し押さえや没収の対象にはなりません。

年金は「差し押さえ禁止財産」に該当するか?

年金(障害年金・老齢年金・遺族年金など)は、原則として差し押さえが禁止されている財産です。民事執行法第152条により、債権者による差し押さえは制限されており、破産手続きにおいても一定の保護があります。

そのため、たとえ遡及期間が破産申立て前にかかっていたとしても、支給決定・振込が免責後であれば、その年金はあなたのものとして保持できます。

具体例:支給時期と自己破産のタイミング

たとえば、2023年5月に自己破産が免責され、2024年6月に障害年金の遡及支給が決定した場合、遡及期間が2019年6月〜2024年6月であっても、支給が「免責確定後」なので、その金額は差し押さえ対象にはなりません。

一方で、もし破産手続き中(免責確定前)に支給が決定・振込された場合には、遡及分の扱いが財産とみなされ、管財人に報告・処理が必要となる可能性があります。

遡及支給を受け取る前にできる準備

不安な場合は、障害年金の申請前や支給決定前に一度、法テラスや弁護士に相談しておくと安心です。受給のタイミングや過去の自己破産手続きと照らし合わせて、適切な処理が求められます。

また、年金事務所で相談する際にも「過去に自己破産があったが、遡及支給を受け取る際の影響はあるか」と質問しておくことで、誤解を防げます。

まとめ:年金支給の時期がカギとなる

障害年金の遡及支給と自己破産の関係では、「年金の支給が免責確定後であるかどうか」が重要な判断基準です。支給時期が免責後であれば、たとえ遡及期間が破産前にかかっていても、その年金はあなたの自由に使える財産となります。

不安な場合は専門家の助言を受けながら、正しく制度を活用して、安心して生活の再建に役立ててください。

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