繰り返される窃盗罪と実刑の相場:前科・再犯・共犯が与える影響とは

窃盗罪に関する刑罰の重さや実刑の相場は、犯行の内容や過去の前科、共犯の有無などによって大きく左右されます。特に再犯や累犯前提のケースでは、執行猶予がつかず実刑判決となることが一般的です。本記事では、窃盗罪の法的基礎から実刑の相場、保釈の可能性までを具体的に解説します。

窃盗罪の基本的な刑罰

刑法第235条によれば、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされています。ただし、罰金刑が選択されるのは軽微な初犯や情状酌量が認められる場合に限られます。

初犯であっても犯行が悪質な場合や、複数回の犯行がある場合は懲役刑となり、特に再犯となると執行猶予は付かないことが一般的です。

再犯・累犯による量刑への影響

過去に刑務所へ服役していた前歴があり、同種の犯罪を再び犯した場合、いわゆる「累犯」として量刑が加重されます。刑法第56条では、再犯の場合には本来の刑に加えて刑期が延長されることが規定されています。

具体的には、初犯で懲役1年〜2年程度のところを、累犯により3年〜5年へ引き上げられるケースも多く、判決では「社会復帰への意欲の欠如」や「反省の色が見えない」といった司法の指摘が強調されます。

共犯がいる場合の扱い

同じ職場の人物と共謀して犯行を行った場合、共犯の成立が認められ、量刑に影響を与えます。共犯であっても、各自の犯行の役割や主導性により個別に刑が科されます。

主犯と見なされる人物には重い刑罰が科される可能性が高く、副次的な役割にとどまる場合でも、「組織的な犯行」と見なされて全体としての処罰感情が高くなることがあります。

実刑判決の相場と具体例

以下に再犯者に対する実際の判決事例を紹介します。

  • 前科2犯、3回目の窃盗:懲役4年(大阪地裁)
  • 組織的犯行に関与し、主導的立場:懲役6年(東京地裁)
  • 高齢・病歴あり・反省の意思を明示:懲役3年(執行猶予なし)

過去の量刑傾向を見ても、前科が複数ある場合、懲役3年〜6年程度が一般的な範囲とされています。実刑の長さは、犯行内容と反省の態度によって大きく異なります。

保釈の可能性とその難しさ

再犯で逮捕・起訴された場合、保釈の許可が下りるのは難しくなります。特に共犯者がいる場合は証拠隠滅や口裏合わせの懸念が高く、保釈が認められにくい傾向があります。

ただし、保釈保証金を支払い、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと裁判所が判断すれば、保釈が認められる可能性もゼロではありません。保釈保証金の相場は100万円以上が一般的です。

まとめ:再犯は厳罰化傾向にある

窃盗罪は初犯であれば執行猶予がつく可能性もありますが、再犯・累犯となると実刑は避けられないケースがほとんどです。特に前科があり、同じ犯罪を繰り返している場合は懲役3〜5年程度の判決が出ることが多く、保釈も極めて難しくなります。

今後の対応を真剣に考える必要があり、弁護士ドットコムの無料法律相談など、専門家への早期相談を強くおすすめします。

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