高齢者福祉の現場では、送迎業務が職員に大きな負担を与えることも少なくありません。特に、故障車両の放置や代車の未手配など、会社の不適切な対応がある場合は、職員の安全と精神面の両方に重大な影響を及ぼします。本記事では、こうした状況に置かれた方がどのように行動すべきかを、法的視点と現場目線の両方から詳しく解説します。
安全が守られない環境で働くリスク
リースアップした車両を修理・交換せずに使わせ続けることは、従業員の生命・身体に対する明白なリスクです。道路交通法だけでなく、労働安全衛生法にも抵触する可能性があります。
実際に、ブレーキに不具合がある車両で送迎を続けさせられた職員が、事故後に労災認定と会社への損害賠償請求を行った判例もあります。
「安全運行サポート部」が対応しない場合の対処法
社内の担当部署が機能していない場合、まずは文書で記録を残した上で、上位部署(本社や本部)に直接相談するのが有効です。メールや書面で「安全配慮義務違反の可能性がある」と明記することで、会社側の対応を促す効果も期待できます。
また、パワハラ的発言(恫喝)を受けた場合は、その発言内容と日時を記録しておくことで、後の証拠として活用できます。
コンプライアンス窓口に相談するタイミング
社内の部署で解決が見込めない場合は、次にコンプライアンス窓口への相談を検討しましょう。特に、「安全運転ができない状態で運転を強要されている」という訴えは、職場のコンプライアンス上の重大問題とされるべき内容です。
通報時には、事実を冷静にまとめた上で、感情的になりすぎず、「現場での安全確保が困難な状況です」と客観的に伝えるようにしましょう。
弁護士への相談が必要なケースとは
会社の対応が改善されず、精神的・身体的な不調が発生している場合は、弁護士への相談をおすすめします。特に以下のような状況がある場合は、法的措置の対象となる可能性があります。
- 送迎中の事故やヒヤリハットが頻発している
- 車両故障による業務継続の強要
- メンタル不調(涙が止まらない、運転困難など)の顕在化
労働問題に詳しい弁護士は、「安全配慮義務違反」や「精神的損害に対する慰謝料請求」などの対応も可能です。
同じような声があることを知ることも力に
SNSや労働者向け掲示板では、同じように「会社の送迎業務が危険すぎる」と感じている声も少なくありません。声を上げたことで改善につながった実例もあります。
たとえば、「上司に修理要請を3度無視された後、労基署に通報→1ヶ月以内に代車手配と謝罪があった」といったケースもあります。自分一人で抱え込まないことが、何よりも重要です。
まとめ:今すぐ安全確保のための行動を
会社が車両の整備義務を怠り、従業員の安全を軽視することは明確な法令違反に該当する可能性があります。安全運転が困難な状況にある場合は、速やかに社内のコンプライアンス窓口に報告し、改善が見られない場合は外部の法律家や労働基準監督署に相談してください。
あなたの命と心の健康は、業務命令よりもずっと大切です。少しでも不安を感じたら、労働問題に強い弁護士の無料相談や、厚生労働省の相談窓口もご活用ください。