家や土地の相続を遺族全員連名で行う際のメリット・デメリットと注意点

家や土地など不動産の相続において、相続人全員の連名で手続きを進めるケースがあります。これは相続人間の合意を前提に円滑な手続きを目指す方法ですが、注意点や落とし穴も存在します。この記事では、相続登記における連名の意義や、分配方法、専門家の関与の必要性について解説します。

遺産分割協議と連名相続とは

不動産の相続には、まず遺産分割協議が必要です。これは法定相続人全員の同意のもと、財産の分け方を決める話し合いです。

協議がまとまった結果、不動産の所有権を複数人で登記する「連名相続」が選ばれることがあります。これは例えば、母50%、子A25%、子B25%という共有名義での登記です。

連名で不動産を相続するメリット

1. 手続きの簡略化:一度に相続登記を済ませられるため、分筆や売却などの追加作業を省略できます。

2. 相続人全員の権利保全:それぞれの相続割合を明確に登記するため、不公平感が生まれにくくなります。

連名で相続する際のデメリットとリスク

1. 売却や改築に全員の同意が必要:将来的に売却や建て替えをする際、共有者全員の合意がなければ動けません。

2. トラブルの原因になりやすい:相続人間の関係悪化や、死亡・認知症発症などによって意思決定が困難になる可能性があります。

実際、「数年後に兄弟の一人が音信不通になり、売却ができなくなった」といった相談が司法書士や弁護士に寄せられることもあります。

子が勝手に分配してもよいのか?

法定相続分(例:配偶者1/2、子2人が1/4ずつ)に沿って相続されるべき遺産であっても、遺産分割協議による合意が必要です。

つまり、子が勝手に分配することは認められません。あくまで相続人全員(この場合は配偶者と子2人)が合意のもとで、書面により協議書を作成する必要があります。

司法書士や専門家は必要?

不動産の名義変更(相続登記)を行うには、法的書類の作成や登記申請が必要です。これらをスムーズに進めるためには、司法書士に依頼するのが一般的です。

また、協議がまとまらない場合や相続税が関係するケースでは、弁護士や税理士など他の専門家との連携も検討されます。相続財産が多額または複雑な場合は、初期段階で専門家に相談することが安心です。

まとめ:相続登記は慎重に、専門家の力も活用を

家や土地の相続を連名で行う場合、メリットもある一方で、後のトラブルを防ぐためにしっかりとした協議と合意が不可欠です。子どもが勝手に財産を動かすことは許されず、全員の同意と協議書が必要になります。

手続きや登記申請は煩雑になりがちなため、司法書士や専門家に早めに相談し、正しい知識と手続きをもって円満な相続を実現しましょう。

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