交通事故に遭った際、修理せずに現金を受け取るケースは珍しくありません。特に過失割合が9:0や10:0で相手側に全面的な責任がある場合、補償金の支払いについての正確な知識が必要です。本記事では、修理費用の見積もりと実際の支払額の違いや、保険会社とのやり取りの注意点を実例を交えてわかりやすく解説します。
過失割合9:0の場合の修理費支払いの基本
過失割合が9:0ということは、被害者側には過失がなく、原則として相手(加害者)側の保険会社が全額補償する義務があります。したがって、修理費の見積もりが18万円なら、基本的には全額が補償対象になります。
ただし、この「見積もり額」そのままが支払われるとは限りません。保険会社は独自の査定や相場確認を行うため、実際の支払額はやや減額されることがあるのが実情です。
なぜ見積もりより少なくなることがあるのか?
ディーラーや整備工場による見積もりは「希望価格」であり、保険会社は実際に市場での「妥当な修理費」を基準に支払いを判断します。特に以下のような場合には減額されることがあります。
- 新品部品ではなくリサイクル部品が相場と判断された場合
- 工賃が一般的な整備工場より高額だった場合
- 修理しない場合の「評価損」に切り替えられた場合
つまり、見積額が18万円でも、査定の結果17万円や16万円となることも十分あり得ます。
修理せず現金で受け取る「現金賠償」の仕組み
現金賠償とは、実際に車を修理するのではなく、修理費相当額を受け取る方法です。これは被害者の自由意志で選択できます。
この場合でも、支払い対象となるのは「修理に妥当とされる金額」であり、実際に修理するかどうかは関係ありません。ただし、保険会社は現物確認や写真提出を求めることがあるため、勝手に処分したり修理を始めたりする前に連絡を取りましょう。
現金で受け取った場合の税金や注意点
修理費としての損害賠償金は、基本的に非課税です。これは「被害回復のための支払い」とみなされるためです。ただし、以下の点には注意が必要です。
- 受け取った補償金で新たなパーツや車を購入する場合は費用が自己責任になる
- 今後の売却時に事故車扱いとなり、評価額が下がる
- 評価損の請求ができる場合もある(高級車など)
実例:18万円の見積もりからいくらもらえる?
ある読者のケースでは、ディーラーの見積もりが18万2,000円、保険会社の査定結果は16万9,000円でした。これは一部の部品交換がリサイクル対応可能と判断されたためです。
このように、数千円から数万円の差額が出ることは珍しくありません。納得できない場合は再交渉や別の工場の見積書を提示するのも有効です。
まとめ:現金受け取りを選ぶ際は査定結果に納得できるかが鍵
過失割合9:0の交通事故で、車を修理せずに現金補償を選ぶ場合は、見積金額がそのまま支払われるとは限らないことを理解しておきましょう。保険会社の査定額と見積額に差がある場合は、その根拠を確認し、必要に応じて交渉することも可能です。
大切なのは「納得したうえで受け取る」ことです。不明点があれば遠慮せず保険会社や専門家に相談しましょう。