飲みすぎて居酒屋で嘔吐してしまった経験がある方にとって、あとから高額な「清掃費」や「損害賠償」を請求された場合、どこまでが正当な請求なのか悩むところです。中には「5万円請求された」「裁判を起こすと言われた」といったケースもあります。本記事では、そうしたトラブルに巻き込まれた場合の正しい知識と対処法を、法的観点から解説します。
居酒屋での嘔吐は損害賠償の対象になるのか?
結論から言えば、嘔吐によって実際に店舗に損害(清掃・営業妨害など)が生じた場合、その損害額を請求される可能性はあります。しかし、それが一律5万円のように設定されている場合、法的には「根拠が不明確」なことも多く、無条件で支払う義務があるわけではありません。
たとえばカーペットのクリーニング費や営業停止時間中の売上減など、具体的な損害の立証が必要です。実際の損害額と乖離した請求は、消費者契約法や民法上で争える余地があります。
レジ表示と異なる請求がされた場合の扱い
レジに提示された価格と異なる金額を口頭で請求された場合、「表示された価格が優先」されるのが原則です。民法上の契約成立要件や景品表示法に照らしても、レジ横の明確な価格表示と異なる「その場の口頭請求」は、法的効力が疑わしいケースが多いです。
たとえば「トイレ清掃料5,000円」と明示されていたのに、口頭で「5万円」と告げられた場合、その差額には根拠がないと判断されることがあります。
「裁判をする」と言われたときの対応方法
メールや口頭で「裁判を起こす」「法的措置を取る」と言われたとしても、冷静に対応することが重要です。民事訴訟は費用と手間がかかるため、少額請求では実際に裁判に発展するケースは非常にまれです。
仮に訴訟になっても、請求額の合理性と証拠が求められるため、過剰請求であれば支払い命令が下る可能性は低いでしょう。
警察に関与される可能性はあるのか?
嘔吐によるトラブルが「威力業務妨害」などに問われる可能性は、極めて限定的です。酩酊状態での軽度な嘔吐は、あくまで民事上の損害問題にとどまるケースがほとんどであり、刑事事件化することは通常ありません。
ただし、暴言や暴力・器物破損が伴った場合は別問題になります。その場合は店側が警察に相談する正当性が出てきます。
過去のトラブルが多い店舗には注意
口コミやSNS、Googleレビュー等で「高額請求が頻発」「警察沙汰が多い」などの情報が出回っている店舗については、実際に悪質な慣行が行われている可能性も考えられます。
こうした店舗では、理不尽な高額請求があっても泣き寝入りする客が多いことを逆手に取って請求を繰り返す事例も報告されています。
まとめ:理不尽な請求には冷静に対処を
居酒屋で嘔吐してしまった場合でも、法的に支払う義務が生じるのは実際の損害が明確に存在する場合のみです。感情的な脅し文句や、法的根拠のない高額請求には、毅然と対応しましょう。
不安なときは、法テラスなどの無料法律相談窓口に相談するのもおすすめです。正しい知識を持ち、自分を守る行動を選びましょう。