河川法における砂利・石の採取の可否と許可制度について詳しく解説

河川は公共の財産であり、そこに存在する砂利や石も法律によって利用が厳しく制限されています。特に河川法では、自然環境の保護や治水機能の維持といった観点から、無許可での採取行為を原則禁止しています。しかし、特定の条件下では一定の採取が許可される場合もあります。

河川法における砂利・石の位置づけ

河川法において、砂利や石は「河川に附属する物」として扱われます。これは、河川の形状や流れを保つために重要な役割を果たしており、むやみに採取すると水害や土砂災害の原因となりかねないからです。

また、これらの資源は「公共用財産」としての性格も強いため、私的な所有権の主張は基本的に認められていません。従って、個人的な利用目的であっても、原則として許可が必要です。

許可が必要なケースとその手続き

河川区域内での砂利・石の採取を行うには、河川管理者(国または都道府県)からの許可が必要です。これは、河川法第26条「河川保全区域内における工作物の新築等の制限」や第27条「河川区域内における採取等の制限」などの規定に基づいています。

許可を得るためには、採取の目的、方法、量、場所などを明示し、申請書を提出します。採取の影響評価が必要な場合もあり、審査には時間がかかることがあります。

例外的に許可不要となるケース

実務上、ごく少量かつ個人利用目的であり、環境や治水に影響が全くないと認められる場合、ごくまれに黙認されるケースもあります。しかし、これは法律上の許可が不要という意味ではなく、あくまで現場の判断による「見逃し」に過ぎません。

例えば「河原で記念に小石を1つ持ち帰った」といったケースでは、厳密な取り締まりは行われないことが多いですが、それでも違法性は否定できない点に留意すべきです。

採取によるリスクと罰則

無許可で砂利や石を採取した場合、河川法違反として行政処分や罰金の対象になることがあります。特に営利目的での大量採取は厳しく取り締まられ、刑事罰を科せられることもあります。

例:過去には業者が無許可で大量の砂利を採取し、環境破壊を招いたとして数百万円の罰金が科された事例も存在します。

民間の採取と地域の取り決め

地域によっては、町内会や自治体が独自に河川整備を行っている場合もあり、住民が共同で砂利を利用することがあるかもしれません。このようなケースでも、基本的には事前に河川管理者と協議し、必要に応じて許可を受けるべきです。

特に地元行事や防災活動に関係する目的での採取については、柔軟な対応が取られることもあります。

まとめ:砂利・石の採取には慎重な判断が必要

たとえ「多少の量」であっても、河川法の原則に照らすと許可なく採取する行為は推奨されません。環境保護や治水、安全性確保の観点から、必ず河川管理者に確認を取り、必要であれば正式な許可を得ることが重要です。

自然との調和を守るためにも、ルールに従った行動を心がけましょう。

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