信託銀行が関与する相続と寄付の行方|親族として取るべき対応とは?

近年、信託銀行を活用した財産管理や寄付の仕組みが広く利用されるようになっており、高齢者が自らの死後に備える手段としても注目されています。しかし、家族や親族が知らぬ間に信託が進行し、相続人としての関与が難しくなるケースも増えています。今回は「従姉妹の財産管理が信託銀行に委ねられ、相続に関与できなくなった」という実例をもとに、信託・相続・寄付に関わる知識と対応策を解説します。

信託銀行が遺産管理を行うケースとは

信託銀行は、高齢者の希望に基づいて、遺産の管理や分配、死後の寄付実行などを行う「遺言信託」や「民事信託」サービスを提供しています。これにより、本人の意思に沿って財産を管理・処理することが可能になります。

本件のように、従姉妹が信託銀行を通じて死後の財産分配(例:寄付)を設定していた場合、親族が知らない間に財産のほとんどが別のルートで処理される可能性があります。

通知人としての役割と制限の変化

以前は「通知人」として、従姉妹の死後に信託の処理を他の相続人に伝える役割を担っていたとのことですが、担当者変更に伴いその役割も終了したようです。信託契約の内容や更新によって、通知人の権限や関与の範囲が変更されることはよくあります。

重要なのは、現在の信託契約内容を正確に把握することです。通知人から外されたとしても、相続人であれば知る権利があるかもしれません。

寄付が設定されている場合の対応

信託の設定により、死後に財産が特定の団体に寄付されるケースがあります。これも本人の自由ですが、相続人の遺留分を侵害している可能性がある場合は注意が必要です。

遺留分とは、法律で最低限保障された法定相続人の取り分のことです。例えば、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分減殺請求が可能です。

今からできる対応と相談先

現在の立場で取るべき具体的な行動は以下の通りです。

  • まずは信託契約書の内容を確認(可能であれば従姉妹本人に確認)
  • 三菱UFJ信託銀行の担当者に文書で照会(通知人としての変更の経緯も含めて)
  • 相続に強い弁護士に相談(遺留分侵害の有無や手続の可否を判断してもらう)
  • 寄付が指定されている団体に関する情報も記録しておく

また、従姉妹がまだ存命であれば、意思確認のために直接対話する機会を設けることが最も重要です。

信託による遺産管理は万能ではない

信託銀行による財産管理は、透明性が高い反面、親族間のコミュニケーションが希薄だと「知らぬ間にすべてが決まっていた」という事態も起こり得ます。

そのため、本人と家族間の意思共有、契約内容の定期確認、信託設定時の第三者の立ち合いなど、事前の準備が大切です。

まとめ:信託と相続に巻き込まれないために

信託銀行を利用した相続管理は便利な反面、関与の範囲が限定されることもあります。従姉妹との関係が続いている場合は、まずは本人と信頼関係を保ちながら、現行の契約内容を確認することから始めましょう。

弁護士などの専門家を交え、法的な手続きや寄付計画の内容確認を行うことで、自身の権利を守ると同時に、従姉妹の意思を尊重した対応が可能になります。

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