近年、スマートフォンでの撮影行動が原因で交通の妨げや事故に繋がるケースが増えています。特に歩道から車道へ無断で立ち入る行為は、重大なリスクや法律的な責任を伴う可能性があります。本記事では、こうした行動がどのような法的問題を引き起こすのか、そしてどのような対応が望ましいかについて詳しく解説します。
歩道から車道へ立ち入ることは道路交通法違反になる可能性
道路交通法第10条では、歩行者は歩道がある場合は原則として歩道を通行しなければならないと定められています。特別な理由もなく車道へ立ち入ると、「通行区分違反」に該当し、違反として扱われる可能性があります。
また、周囲の車両の通行を妨げるような行為を行った場合には、「交通の妨害」として指導・警告、場合によっては軽犯罪法違反の対象となることもあります。
意図的な妨害行為は軽犯罪法・威力業務妨害罪に発展する可能性
もしも本人が明確に妨害目的で車道に立ち入ったり、通行車両の進行を妨げたりした場合は、軽犯罪法第1条32号「交通の妨害」に該当する可能性があります。
さらに、状況によっては業務(交通の円滑な遂行)を妨害する意図が明確と判断されれば、刑法第234条の「威力業務妨害罪」として処罰の対象になる可能性も否定できません。
高齢者や認知機能に問題がある場合の対応
高齢者による不注意な道路への立ち入りについては、認知機能の低下などが関係しているケースもあります。これらの場合、警察も人道的な配慮のもと、保護・声かけ・注意といった対応を行うのが基本です。
しかし、再三の注意にも関わらず繰り返し問題行動を取る場合には、地域の自治体や警察との連携を通じて、福祉的な対応が必要になることもあります。
具体例:実際にあった車道妨害による事例
2022年には、東京都内で写真撮影のために無断で車道に入り、通行車両に接触しそうになった歩行者に対し、警察が事情聴取を行い厳重注意をしたという報道がありました。
また、SNS撮影のためにバイク走行を妨げるような行動を繰り返した事例では、証拠映像をもとに警察が捜査に乗り出し、最終的に「偽計業務妨害」で書類送検となったケースも確認されています。
注意すべき点:撮影目的でも道路に立ち入らない
スマートフォンでの撮影行為は気軽に行えますが、公共の場でのマナーや法令遵守が求められることは言うまでもありません。特に交通量の多い道路や敷地の出入口付近での行動は、ドライバーにとっても重大な危険となるため、避けるべきです。
もし撮影が必要な場合は、安全な歩道や公園などのスペースを選び、他人の通行や車両の動線を妨げないように心がけましょう。
まとめ:交通環境の中でのマナーと法律意識を持つ
たとえ一瞬の行動でも、車道への立ち入りや撮影行動は、重大な事故や法的トラブルに繋がる可能性があります。特に高齢者や観光客が行動する際は、周囲の人がさりげなく注意を促したり、安全な場所へ誘導する配慮も重要です。
安全と法律を守る意識を持つことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩です。