インターネット上で公開されているイラストを、自宅に飾るために印刷したいと考える人は少なくありません。しかし、この行為が著作権の観点から見て問題ないのかどうか、そしてその部屋の様子をSNSに投稿してよいのか、不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、著作権法の基本と注意点をわかりやすく解説します。
著作権の基本:私的利用は原則OK
日本の著作権法では、「私的使用のための複製」は例外的に認められています。これは、家庭内での利用や個人的に楽しむ範囲であれば、著作物を無断でコピーしても違法にならないというものです。
つまり、好きなイラストを自宅のプリンターで印刷し、自室に飾るだけであれば、著作権侵害にはあたりません。ただし、コピーや印刷を第三者に依頼した場合(例:コンビニ印刷など)は「私的使用」の範囲外とされ、許可が必要となる場合があります。
公開と共有:SNS投稿には注意が必要
著作権法で許される「私的使用」は、自分だけが楽しむことを前提にしています。そのため、印刷物が写った写真をSNSにアップロードする行為は、「公衆送信」に該当する可能性があり、無断で行うと著作権侵害と判断されるリスクがあります。
たとえば、壁に飾られたイラストがハッキリ写っていて、その絵が誰の作品か明確にわかるような投稿は、複製物の無断公開と見なされる恐れがあります。特にイラストの全体が写っていたり、高画質であったりすると要注意です。
イラストレーターの意向を確認する
クリエイターによっては、自身の作品の二次利用についてガイドラインを設けている場合があります。たとえば、pixivなどの投稿サイトでは、イラストレーターが「印刷OK」「SNS掲載OK」などの範囲を明記していることもあります。
ガイドラインがない場合でも、直接メッセージなどで問い合わせることで、許可を得られるケースもあります。作者の意向を尊重することが、トラブル回避の一番の近道です。
実例:無断投稿でトラブルになったケース
2021年には、人気絵師の作品を部屋に貼った状態の写真をSNSに投稿したユーザーに対して、絵師本人から「削除依頼」が届いたという事例が話題になりました。
このようなトラブルは、悪意がなかったとしても発生し得るものです。特に商業利用ではなくても、作品を「再公開」する行為は著作権侵害の範囲に入り得ます。
著作権に配慮した楽しみ方の工夫
好きなイラストを部屋に飾りたい場合は、作者が販売しているポスターやグッズを購入するのが一番安全な方法です。最近では、BOOTHなどで手軽に購入できるケースも増えています。
また、どうしても印刷したい場合は、イラストの一部だけが見えるように写真を撮る、あるいはぼかしを入れるなどの加工を行うことで、トラブルのリスクを軽減できます。
まとめ:創作物を大切にしながら楽しむために
好きなイラストを身近に置いて楽しむ気持ちはとても素敵なものです。しかし、それが誰かの創作物である以上、著作権への配慮を忘れてはいけません。自分の楽しみとクリエイターの権利を両立させるためにも、ルールを理解し、丁寧な対応を心がけましょう。