ニュースやドラマなどで「不起訴になった」という言葉を耳にすることがありますが、これが「逮捕された」という意味だと誤解している人も少なくありません。本記事では、「不起訴」と「逮捕」の意味や違いを、法律の専門知識がなくても理解できるように、実例を交えてわかりやすく解説します。
「不起訴」とは?検察の判断による処分
「不起訴」とは、検察官が被疑者を起訴しないと判断した場合に出される処分です。起訴とは、公判(裁判)にかけることを意味します。つまり、不起訴になると裁判にはかけられず、刑事処分を受けることもありません。
不起訴になる理由にはいくつかありますが、主なものとして以下のようなケースがあります。
- 証拠不十分(犯罪を立証する証拠が足りない)
- 嫌疑なし(そもそも犯罪をしていないと判断された)
- 起訴猶予(犯罪が成立しても、情状酌量などの理由で起訴しない)
「逮捕」とは?捜査の初期段階に行われる措置
一方で、「逮捕」とは、捜査機関が犯罪の疑いのある人物を一定期間拘束する手続きです。逮捕されたからといって、必ず起訴されるわけではありません。
例えば、ある人が窃盗の疑いで現行犯逮捕されたとします。しかし、その後の取り調べで本人に犯行の証拠が見つからず、検察が「証拠不十分」と判断した場合、不起訴処分になることもあります。このように、逮捕と不起訴は直接的に結びついているわけではありません。
逮捕=有罪ではない?よくある誤解を解消
「逮捕されたらもう終わり」「逮捕=犯罪者」と思い込むのは誤解です。日本の刑事司法制度では、「推定無罪」の原則があり、裁判で有罪が確定するまでは、誰もが無罪と見なされます。
実際に、年間数万人が逮捕されていますが、そのすべてが起訴されるわけではなく、不起訴になる人も多くいます。とくに初犯で軽微な犯罪の場合、起訴猶予で不起訴となることも少なくありません。
不起訴の種類とその意味を詳しく知る
不起訴には種類があり、それぞれ意味が異なります。以下の表で整理してみましょう。
種類 | 意味 |
---|---|
嫌疑なし | 犯罪を行っていないと判断された |
嫌疑不十分 | 犯罪の証拠が足りず、立証できない |
起訴猶予 | 犯罪はあったが、事情を考慮して起訴しない |
例えば、ある大学生が酔って他人の自転車を乗ってしまった場合、犯罪は成立する可能性がありますが、悪質性が低く反省していれば、起訴猶予で済むこともあります。
不起訴になると記録はどうなる?将来への影響
不起訴になると、裁判にはかけられず、前科もつきません。ただし、逮捕歴や捜査歴は記録として警察内部に残る場合があります。
就職や資格取得に影響するか気になる人も多いと思いますが、通常の企業で「不起訴歴」まで調査することは困難です。しかし、公務員試験や一部の国家資格では、経歴調査が行われることもあるため注意が必要です。
まとめ:逮捕と不起訴は別物であることを正しく理解しよう
「不起訴」とは、検察が起訴を見送った結果であり、「逮捕された」という事実とは異なります。逮捕されても不起訴になれば裁判には進まず、前科もつきません。
今回の解説を通じて、「不起訴=逮捕ではない」ということが理解できたかと思います。今後、ニュースや報道などで「不起訴」という言葉を見かけたときは、ぜひ今回の記事を思い出して、冷静に状況を判断してみてください。