狭い道を歩いているとき、車のサイドミラーが身体にかすめたり軽く当たることがあります。一見してケガもなく、その場で車が走り去ったとしても、「このまま何もできないのか」「対応としてはそれで良かったのか」と腑に落ちない気持ちになる方もいるでしょう。今回は、被害が明確でない場合でも知っておきたい対応の基本や、法的視点でできることについて解説します。
被害がなくても「接触」は道路交通法の対象になる
まず大前提として、歩行者と車両が物理的に接触した時点で「接触事故」に該当する可能性があります。たとえケガがない場合でも、道路交通法上はドライバーに「安全確認義務」「事故時の報告義務」があります。
特に、接触後にそのまま立ち去った場合は、「報告義務違反」「危険防止措置義務違反」などに問われるケースもあり、相手ドライバーの対応は決して適切とは言えません。
被害がないときの警察対応:実際の運用
実際には、明確なケガや物的損害がない場合、警察は「交通トラブル」または「道交法違反の可能性」として記録するにとどまるケースが多いです。ただし、被害届や相談記録として受け付けてもらえることもあるため、納得いかない場合は相談する価値があります。
その際には以下の情報があるとスムーズです。
- 接触した日時と場所
- 車のナンバーや色、車種
- ドライブレコーダー映像(あれば)
- 目撃者がいればその連絡先
たとえば、「歩道のない市道で歩いていたところ、黒い軽自動車のミラーが肩に触れた」というような、具体的な状況を説明できると記録に残りやすくなります。
気持ちが整理できないときは「交通相談窓口」も
ケガがなくても、気持ちがざわついたり納得がいかないときは、警察署の交通相談窓口で相談することができます。正式な事件扱いにならなくても、話を聞いてもらうことで心が整理されることもあります。
また、各都道府県警には「警察相談専用電話 #9110」も設置されており、通話料のみで気軽に交通トラブルに関する相談が可能です。
ドライバーの対応が不適切と感じた場合
ミラーで接触し、軽くでも謝罪が曖昧だったり、走り去ってしまうような態度は不誠実と感じられるのも無理はありません。ただちにその場で感情的にならず、記録を取りつつ警察や相談機関に状況を伝えることが、最も合理的な対応となります。
万が一、後から体調に違和感が出てきた場合は、速やかに病院を受診し、診断書を取得したうえで再度警察に届け出を行いましょう。
今後のためにできる予防策
狭い道を歩く際には、次のような予防策を心がけましょう。
- できる限り車道側を避けて歩く
- 反射材や明るい服装で存在をアピール
- 歩行中でも周囲への注意を怠らない
さらに、スマホで音声メモや写真を即座に残しておくことで、もしもの際の証拠として役立ちます。
まとめ:接触は「小さなこと」ではなく、立派な交通トラブル
車のミラーと軽くでも接触した場合、それは単なる「よくあること」ではなく、ドライバーの安全確認義務が問われる可能性のある出来事です。
ケガがないから何もできない、ではなく、記録を取り相談するという選択肢を持つことが、今後の安心と安全につながります。たとえ小さな接触でも、軽視せず、冷静に行動することが大切です。