スマートフォンやSNSの普及により、個人間で画像やメッセージを簡単にやり取りできる時代になりました。しかし、その自由さの裏で、わいせつ画像の送信が法的問題を引き起こすケースも増えています。今回は「わいせつ画像を他人に送る」行為に対する法律の考え方と、同意の有無による違いについて詳しく解説します。
わいせつ画像送信に関する代表的な法律
わいせつ画像を他人に送信する場合、主に以下の法律が問題となる可能性があります。
- 軽犯罪法 第1条20号:公共の場にわいせつな文書・図画を頒布する行為
- 刑法 第175条(わいせつ物頒布等):不特定多数に送る行為が対象
- 迷惑防止条例(都道府県条例):スマホなどでのわいせつ画像送信や盗撮等に関する規定
個人間の送信でも、受け取り手が望まない場合や被害を申し立てた場合は処罰対象となることがあります。
同意がある場合は罪にならないのか?
ポイントは相手の明確な同意があるかどうかです。同意のあるやり取りであれば、基本的には処罰対象になりません。ただし、以下の点には注意が必要です。
- 相手が未成年である場合は同意があっても児童ポルノ禁止法等の違反となる
- 同意の範囲を超えた内容や、相手に無理をさせていた場合も違法の可能性あり
たとえば、恋人同士のやり取りでお互いの合意がある中で画像を送っていたとしても、その後に関係が悪化し、相手が「無理やりだった」「精神的に傷ついた」と申し出れば、刑事告訴されるケースもあります。
同意がない場合に問われる罪名の例
同意なしにわいせつ画像を送った場合、以下のような罪に問われる可能性があります。
- 迷惑防止条例違反:特にスマホを使った画像送信行為に適用
- 軽犯罪法違反:不適切な画像の頒布行為
- ストーカー規制法違反:執拗な送信が続いた場合に該当
また、送信が業務の一環(風俗営業など)であった場合、風営法や労働法違反の対象になる可能性もあります。
実例:わいせつ画像送信による検挙事例
ある大学生が、SNSで知り合った相手にわいせつ画像を一方的に送り、相手が通報したことで迷惑防止条例違反で書類送検された事例があります。このケースでは相手が未成年だったこと、画像に対する嫌悪感が強かったことが処罰の決め手となりました。
一方で、合意の上での画像送信でも、その後に他者へ画像が流出した場合、「名誉毀損」や「リベンジポルノ防止法違反」に発展するリスクもあります。
送信前に確認すべき3つのポイント
- 相手が成人であることを確認する
- 相手の同意を明確に取る(できれば文面で残す)
- 送った画像が他人に流出しないよう最大限の配慮をする
これらを怠ると、本人に悪意がなかったとしても、後から「同意はなかった」と主張され、トラブルに発展することがあります。
まとめ:軽い気持ちが思わぬ罪に発展することも
わいせつ画像を個人に送信する場合、同意の有無が処罰の可否や罪名に大きく影響します。同意があるからといってすべてが許されるわけではなく、相手が未成年である場合や、その後の関係性によってもリスクは変わります。
画像の送信前に「この行為は本当に相手が望んでいるか?」を見極めることが、トラブルや処罰を防ぐ最善の方法です。