近年、社会問題化している「高齢者ドライバーによる危険運転」。運転技術の低下や認知機能の衰えによって、事故やトラブルに巻き込まれる危険性が高まっています。この記事では、実際に高齢者の危険運転に悩まされている方や不安を感じている方に向けて、どのように対処すべきかを具体的に解説します。
高齢者ドライバーの危険運転が社会的に問題視される理由
高齢になると視野の狭まり、判断力や反射神経の低下が顕著になるとされています。こうした変化により、一時停止無視、歩行者を見落とした発進などが起こりやすくなります。
警察庁の発表によると、高齢ドライバー（75歳以上）による死亡事故の割合は年々増加傾向にあり、その多くが「安全不確認」「操作ミス」などによるものです。
まず取るべきは「証拠の確保」
危険運転に対処する際に最も重要なのは、客観的な証拠の収集です。目撃情報や感情的な訴えだけでは、警察や行政も動きにくいのが現実です。
おすすめの証拠収集方法は以下の通りです。
- 車種・ナンバープレートの記録
- ドライブレコーダーやスマホでの動画撮影
- 日時・場所・内容を記録したメモ
動画撮影は歩道から安全に行い、トラブルの原因とならないよう慎重に行動しましょう。
警察への相談とその伝え方
証拠が揃ったら、まずは最寄りの交番または警察署に出向きましょう。重要なのは、「感情的な主張」ではなく、客観的な事実と「将来事故が発生する危険性が高い」ことを冷静に伝えることです。
具体的には以下のように伝えると効果的です。
- 「〇月〇日〇時ごろ、〇〇通りの横断歩道で、一時停止無視と歩行者妨害がありました」
- 「この行為は2度目であり、証拠動画があります」
- 「近隣住民として非常に不安で、早急にご対応いただきたい」
行政処分や免許返納に繋がる可能性はある？
警察に相談した後、違反行為が繰り返されていると認められれば、「高齢運転者講習」や「認知機能検査」の受講対象になる可能性があります。さらに、道路交通法第102条に基づき、状況によっては「運転適性診断」や医師の診断書提出を求められることもあります。
ただし、現行法では警察が直接「免許を取り上げる」ことはできません。ですが、適切な手順を踏めば、行政処分や免許返納のきっかけにはなり得ます。
学校や地域の協力も活用する
危険が特定の通学路などに集中している場合は、学校や地域の交通安全協議会と連携するのも有効です。自治体によっては「危険運転の通報窓口」や「見守り強化エリアの申請制度」がある場合もあります。
また、交通課や地域安全課に連絡すれば、そのエリアに重点的なパトロールを実施してもらえる可能性もあります。
感情的にならず「冷静かつ着実に」
怒りや不安は当然のことですが、感情をそのままぶつけると逆に対応が後回しにされることも。警察や行政、地域と連携しながら、法的根拠をもとに「冷静かつ着実な行動」を取りましょう。
「免許返納してほしい」と思うのは自然な感情ですが、制度を活用して相手の行動を抑止していく方が、長期的に見て安全確保に繋がります。
まとめ：未来の事故を防ぐために、いま行動を
高齢者の危険運転を放置することは、重大な事故の引き金になりかねません。証拠を整え、警察や地域機関と連携して、法と制度に則った適切な手続きを進めることが、結果的に自分と周囲の人々を守る最善の方法です。
「なにか起きる前に動く」。この意識が、安全な生活と通学環境をつくる大切な第一歩です。