信号待ちで停車中、前方車両がエンストにより後退し衝突──こうした場面に遭遇した際、過失割合や保険対応がどうなるのか不安になりますよね。本記事では、斜面でのエンスト事故に関する法的・実務的観点からの解説と、トラブル回避のための対策をご紹介します。
前方車両が後退してきた場合の過失割合
一般的に、後退した車両に主な過失があると判断されます。特に被害車両が明確に停止していた場合、基本的には0:100で後方車両に責任は問われません。
ただし、車間距離が極端に短かった場合や、警笛を鳴らさなかったなど回避措置の有無によって、被害者側に1〜2割の過失が認定されることもあります。
推奨される停車中の車間距離とは?
交差点などの斜面では、万が一の後退リスクを考慮して最低でも1.5〜2mの車間距離を保つのが理想です。教習所や交通法規では明示されていませんが、保険会社や裁判例ではこの距離が目安とされることが多いです。
実際の事故対応でも、「1m未満しか空けていなかった」場合は、停止していたとしても回避努力の欠如として軽微な過失が付加される可能性があります。
保険会社の判断と交渉のポイント
保険会社はまずドライブレコーダーや現場写真、当事者の証言をもとに事故状況を確認します。特に「自車は完全に停止していた」ことが明確なら、原則的に相手側100%の責任として交渉が進みます。
この際、相手保険会社の提示額に納得できない場合は、自己の保険会社の弁護士特約を利用して交渉するのも有効です。
ドライブレコーダーがあるかどうかで大きく変わる
エンスト事故のように相手側が「不可抗力だった」と主張してくる可能性があるため、映像証拠は極めて重要です。
「停車していたこと」「相手の動き」「クラクションを鳴らして警告したか」などが録画されていれば、交渉が有利に進みやすくなります。
エンスト後退事故のよくあるトラブル例
- 相手が「こちらも被害者」と言い出し過失を押し付けてくる
- 現場で示談書にサインさせようとする(すぐには応じないこと)
- 連絡が取れなくなるケースもあるため、警察を必ず呼ぶことが大切です
まとめ:斜面での停車中事故は記録と距離が命
エンストによる後退衝突は、前方車両の不注意による事故と判断されやすいため、基本的には0:100で相手側に責任があると考えられます。
ただし、適切な車間距離(1.5〜2m)を取ることや、ドライブレコーダーで証拠を残すことが、あなたの主張を確実にするカギとなります。もし事故に遭った際は、冷静に警察・保険会社へ連絡し、示談には慎重に対応しましょう。