交通事故で過失割合が10対0と認定された場合、被害者側の修理費用は原則として加害者側の保険で全額補償されるのが基本です。しかし、実際の現場では「保険を使わず示談で済ませたい」という提案や、「知り合いの車屋で直したい」といったケースも多く見受けられます。ここでは、保険修理を選択した場合に押さえておくべき修理内容の交渉、レンタカー補償、黒ナンバー運用の注意点を整理します。
保険修理では「必要な修理範囲」は主張できる
事故による損傷が明らかであり、車検通過に必要な機能回復や安全性が損なわれている場合、加害者側保険会社に対して正当な修理内容を要求することは可能です。
今回のようにラジエーターが後退し、エアコン(クーラー)が効かず、ボンネットやバンパー、ライトに破損がある場合、見えない損傷まで含めて修理を要求できます。
追加で依頼できる整備項目の例
- ラジエーター交換(冷却機能の回復)
- エンジンルーム内の安全部品確認・交換(車検に関わる項目)
- 冷却水・エンジンオイル・エレメント類の交換
- オイル漏れや曲がりの確認(足回り・クロスメンバーなど)
「車検に通らない可能性がある部分」「機能上問題のある部品」は保険対応されることが一般的です。念のため、ディーラーや整備工場に「車検対応可能な状態まで回復すること」を前提とした見積を依頼しておくと、交渉しやすくなります。
レンタカー提供と利用時の注意点
加害者側保険で修理中の代車をレンタルする場合、基本的にレンタカー費用も補償対象です。ただし以下の点に注意が必要です。
- 傷や破損をつけた場合は自己負担になる可能性あり
- 免責補償(CDW)特約付きのレンタカー契約があるか事前確認
- 走行距離制限や給油ルールにも注意
保険会社を通じて借りる場合は、CDW付きプランを指定してもらうと安心です。自己負担ゼロで済む可能性が高くなります。
黒ナンバー(貨物車)の取り扱いと注意点
黒ナンバーは貨物運送用車両であり、営業運行中のナンバー掲示は義務です。ナンバープレートを外してダッシュボードに置くだけでは、法的には「無登録運行」と見なされるリスクがあります。
営業運行中にナンバーが見える状態で確実に装着しておくことが原則です。整備・修理中などで運行しない場合は例外ですが、運転して配達を行う以上、しっかり取り付けた状態で走行してください。
まとめ:修理も代車も「納得できる補償」を受け取るには
① 修理内容は「車検が通る安全状態」までを目安にし、詳細な見積と整備項目の提示を求めましょう。
② ラジエーター・ボンネット・バンパー・ライトなど明確な損傷は必ず交換対象に。
③ レンタカーはCDW付きかどうかを確認し、借りる際に傷の有無をチェックすること。
④ 黒ナンバー運行時にはナンバーを外さず、確実に装着することで法令遵守を。