車両保険と対物賠償の補償範囲とは?事故後に知っておきたい保険金の仕組み

事故に遭った際、自動車保険の補償内容について「思っていたのと違う」と感じることは少なくありません。とくに、車両保険と対物賠償保険の補償の関係性について混乱する方は多いでしょう。この記事では、それぞれの保険の役割と、事故時にどのように保険金が支払われるのかをわかりやすく解説します。

対物賠償保険とは?

対物賠償保険は、加害者が他人の車や物を壊した場合の損害を補償する保険です。過失割合に応じて、被害者の修理費の一部が相手方の保険会社から支払われます。

たとえば、過失割合が7:3であれば、相手側からは修理費の3割のみが支払われることになります。つまり、全額は補償されないことが前提です。

車両保険とは?

車両保険は、自分の車の損害を補償する保険で、事故の相手の有無にかかわらず、自分の契約に基づいて保険金を請求できます。

車両保険は「時価額」までの補償が基本で、修理費が時価額を上回ると全損扱いになる可能性があります。保険会社はこの時価額を上限として保険金を支払います。

対物と車両保険の併用はできるのか?

結論としては、併用は可能ですが、請求できるのは実際にかかった損害額までです。二重取り(=同じ修理費について2つの保険から満額ずつ受け取ること)は認められていません。

具体的には、まず相手の対物賠償で過失割合分の保険金を受け取り、その後、不足分を自身の車両保険から補填する形になります。しかし、契約によってはこの補填が制限されている場合もあるため、保険内容の確認が必要です。

実際に起きるパターンと担当者の対応

保険会社の担当者が「車両保険の限度額しか出せない」と説明した場合、多くは全損扱い(修理費>時価)であるためです。このようなときは、相手の保険金と自身の保険金を合算するのではなく、自身の車両保険の範囲内で補償が終了する形になります。

また、「請求できない」と言われるケースでは、契約の免責条件や「車両保険一括払い方式(車両保険から全額支払って、相手分は保険会社が回収する)」が関係していることもあります。

実例:事故時の保険金支払いの流れ

例:修理費80万円、過失割合が2:8(自分:相手)で、車の時価額が70万円だった場合。

  • 相手の対物賠償から:80万円 × 0.8 = 64万円
  • 残りの16万円は本来自己負担
  • しかし、車両保険に加入していれば、この16万円を補填可能(上限が70万円までの場合)

ただし、保険会社によっては全体の補償調整を行い、車両保険だけで完結させる方式もあるので、担当者との確認が重要です。

まとめ:補償の全体像を把握して適切な請求を

車両保険と対物賠償保険の違いや関係性を理解しておくことで、事故後の対応がスムーズになります。ポイントは「実損額までしか補償されない」ことと「契約内容によって制限がある」ことです。

もし保険会社の説明が腑に落ちない場合は、契約書を確認し、セカンドオピニオンとして他社や保険相談窓口に相談するのもおすすめです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール