交通事故後に長引く痛みや不調があっても、後遺障害等級認定を受けられないケースは少なくありません。「症状はあるのに認められない」――そんな悩みを抱える人も多いのが現実です。この記事では、後遺障害の認定を受けるための基本知識や、申請の流れ、認定されなかった場合の対処法を具体的に紹介します。
後遺障害等級認定とは？
後遺障害等級認定とは、交通事故によって残ってしまった症状について、その重さに応じて1〜14級の等級を認定し、損害賠償額などを決定する制度です。自賠責保険や任意保険による補償を受けるには、この認定が不可欠です。
たとえば、むち打ち症が長期にわたって治らず、日常生活や仕事に支障がある場合でも、医学的な証明がなければ認定は下りません。
認定されない理由とは？
実は、後遺障害の申請をしても「非該当」となるケースは決して珍しくありません。主な理由には次のようなものがあります。
- 治療経過や症状に一貫性がない
- 画像診断などで異常所見が確認されない
- 必要な検査や診断書が不十分
たとえば、整形外科に通わず整体院ばかりで治療していた場合、「医学的な裏付けが乏しい」と判断されることがあります。
等級認定のために必要な準備
後遺障害の等級認定を受けるためには、医師による後遺障害診断書が必須です。その他にも次のような資料が有効です。
- MRI・CT・レントゲン画像
- 神経学的検査の結果
- 事故状況や症状の推移を記したメモ
メモを取っておくことも非常に重要です。例えば、「朝起きると首が痛む」「長時間座ると痺れる」など、どのような状況で症状が強まるかを日常的に記録しておくと、医師も診断しやすくなります。
後遺障害認定が下りなかった場合の対応
非該当だった場合でも、異議申し立てという再申請の手続きが可能です。この際は、医師や弁護士、行政書士のサポートを受けながら、新たな検査結果や診断書を追加することが有効です。
一例として、最初の診断書には神経学的異常が記載されていなかったが、再検査で陽性反応が確認され、異議申し立てによって14級9号が認定されたケースもあります。
後遺障害認定の有無による補償の違い
認定されなかった場合は、後遺障害慰謝料や逸失利益（将来働けなくなる分の補償）などを受け取ることができません。そのため、等級認定を受けられるかどうかは、補償額に大きく影響します。
例えば、14級認定で約110万円の慰謝料と逸失利益が受け取れる可能性があり、非該当の場合にはこれがゼロとなることも。
まとめ：認定のための準備と継続的な対応が鍵
後遺障害認定は、医学的な証拠と日常の症状の記録が鍵を握ります。「感じている痛み」と「医学的な所見」を一致させることが必要不可欠です。非該当とされた場合も、すぐに諦めず異議申し立ての検討をおすすめします。
交通事故後の補償を正しく受けるために、早めの準備と専門家のサポートが成功のポイントです。