訪問販売や電話勧誘販売など、一定の条件下で契約した場合に適用できる制度「クーリングオフ」。この制度を利用して契約を解除する際、商品を購入した販売業者だけでなく、ローン契約を結んだ信販会社(ローン会社)にも通知を出す必要があるのか、不安に思う方も少なくありません。本記事では、そのようなケースでの正しい対応方法を詳しく解説します。
クーリングオフとは?基本の仕組みを理解しよう
クーリングオフとは、訪問販売・電話勧誘・連鎖販売取引(マルチ商法)などで結ばれた契約について、一定期間内(通常8日間)であれば理由を問わず契約を無効にできる制度です。書面での通知が必要で、通知を出した日が期間内であれば有効とされます。
たとえば、美容機器や教材を訪問販売で購入し、信販会社とのローン契約を同時に締結した場合、その両方が「一体の契約」とみなされます。
販売業者への通知だけで良い?信販会社への通知の必要性
結論から言うと、信販会社(ローン会社)にも別途通知が必要です。販売業者との契約と、信販契約(立替払契約)は別個の契約ですが、商品購入とセットになっているため、一体的にクーリングオフの対象になります。
この通知がなければ、信販会社側が契約解除の認識を持たない可能性があり、支払い請求が継続されるケースもあります。したがって、販売店と信販会社の両方に通知を送ることが基本です。
通知方法とその内容の例
通知は書面(はがきまたは内容証明郵便)で行います。以下のような文面が一般的です。
「私は、〇年〇月〇日に株式会社〇〇〇〇と締結した商品の売買契約および貴社との立替払契約について、訪問販売によるものですので、特定商取引法に基づきクーリングオフいたします。」
この文面を記載した書面を、信販会社の住所宛に送付します。送った記録(特定記録・配達証明など)を保管することも重要です。
もし通知しなかったらどうなる?
信販会社へ通知を行わなかった場合、クレジット支払いの請求が継続され、延滞扱いとなるリスクもあります。これは信用情報に悪影響を与える可能性があるため、軽視してはいけません。
また、販売業者とローン会社の間で情報連携が不十分な場合、販売側で契約を取り消してもローンだけが有効のままとなるトラブルもあります。
クーリングオフの対象外となる例もある
通信販売や自ら店舗へ出向いて契約した場合など、一部はクーリングオフの対象外となる点にも注意が必要です。そのような場合は、「中途解約」や「契約取消し」といった別の対応が求められるため、国民生活センターや弁護士など専門機関への相談が推奨されます。
まとめ:信販会社にも必ず通知を忘れずに
クーリングオフを実行する際は、販売業者と信販会社の両方に通知するのが原則です。通知を忘れるとローン契約だけが残る可能性があり、トラブルの原因となります。
確実なクーリングオフを行うためにも、書面の作成や送付記録の保管を徹底し、必要であれば消費者相談窓口にアドバイスを求めるのが良いでしょう。