駐車場内での事故は道路と違い「明確な車線や信号がない」ため、過失の判断が複雑になります。とくに両車がバックしていた、あるいは一方が方向転換中だった場合、どのように過失割合が決まるのかは非常に気になるポイントです。今回は、そんなケースについて交通事故の実務を元にわかりやすく解説します。
駐車場内の事故は「私有地」でも過失判断は存在する
まず押さえておきたいのは、駐車場は私有地であっても過失割合の判断は通常の交通事故と同様に行われるという点です。
警察は「物損事故」として受理する場合が多く、民事上の損害賠償については保険会社や当事者同士の協議で過失割合を決定します。
基本パターン：駐車場内の後退事故の過失割合
駐車場で後退中同士の事故は、基本的に「50：50」が初期の過失割合とされることが多いです。これはお互いが後方確認の義務を負っているためです。
ただし、一方がすでに停止していた場合は、動いていた側の過失が大きくなり、「80：20」や「90：10」などになる可能性があります。
今回のような「方向転換中＋停止＋警告あり」の場合
たとえば今回のように、「自分は方向転換中で、すでに停止」「相手はバックしながらこちらに接近」「クラクションで警告」していたにもかかわらず接触した場合、相手側の過失がかなり高く評価される傾向にあります。
実例として、方向転換中に停止していた車両にバックで接触したケースでは、「相手：90％、自車：10％」という過失割合となった事例があります。
相手が「見えていなかった」と主張した場合の対応
相手が「見えていなかった」と言っても、後退する際の安全確認義務はドライバー側にあります。ミラーやバックカメラの使用、目視確認などを怠っていた場合、それは過失として重く見られます。
また、相手の車両の死角であったとしても、クラクションを鳴らして警告していたことは大きな加点要素となります。
保険会社との交渉で主張すべきポイント
- 自車はすでに停止していたこと
- クラクションで注意喚起を行っていたこと
- 接触された側であり、避ける余地が少なかったこと
これらを写真や現場図、ドライブレコーダー映像などで証明できれば、過失割合は有利に調整されやすくなります。
まとめ：方向転換中の停止状態なら過失はかなり軽くなる
駐車場内での方向転換中の事故でも、自車が停止しており、相手の後退が原因であれば、自分の過失は1〜2割に抑えられるケースが多いです。
相手側の不注意や確認不足が明らかな場合は、その状況を丁寧に記録・証明し、保険会社にしっかりと主張することが重要です。納得のいく過失割合を得るためには、冷静かつ具体的な根拠を持った対応がカギとなります。