医薬品ドリンク剤の試飲は違法?薬事法に基づく小分け試飲の可否とドラッグストア現場での注意点

ドラッグストアで勤務する登録販売者の方や管理者にとって、店頭での試飲会や販促活動のルールは慎重な判断が求められる場面です。特に「医薬品ドリンク剤を小分けして試飲提供することが薬事法上問題ないのか?」という疑問に対しては、法令・行政解釈を踏まえた正確な理解が必要です。

医薬品の「小分け」と「販売」の定義

薬機法(旧・薬事法)では、医薬品の「小分け」や「開封販売」は原則として禁止されています。これは、医薬品の品質・安定性・有効性の担保が困難になるためです。

つまり、たとえ販売目的でなくても、販売用に供する医薬品を開封して別の容器に移して提供すること自体が“薬機法第55条(小分け等の禁止)”に抵触する可能性があります。

医薬部外品や清涼飲料との違い

一方、栄養ドリンクの中には「医薬品」「医薬部外品」「清涼飲料水」の3つのカテゴリーがあります。

例えば、「ユンケル黄帝液」や「リポビタンD」などの医薬品ドリンク剤は薬局等での販売が義務づけられ、試飲には制限がかかります

しかし、清涼飲料水や医薬部外品(ビタミン補助系)であれば試飲提供は原則可能とされており、実際にスーパーやコンビニでは無料試飲が行われています。

「試飲会」目的での開封は例外的に認められる?

一部の都道府県では、「販促活動としての試飲会については薬機法違反とはしない」という解釈がなされていることもありますが、これは極めて限定的かつ自治体判断に委ねられます。

「薬局・登録販売者の管理下で、明確に“販売目的ではなく啓発目的”であること」「1回限りの提供で個別容器に入れず場内でのみ摂取」など条件を満たせば違反とならないというケースもあるため、事前に保健所等に相談すべきです。

過去の事例:問題になったケースと問題にならなかったケース

問題とされた例:
登録販売者が無許可で第2類医薬品ドリンクを開封・紙コップに分注し、来店客に配布。→ 医薬品の分割販売に該当し、行政指導。

問題とならなかった例:
清涼飲料として販売されているビタミン飲料を、製造メーカー立会いのもと試飲会として提供。→ 管轄保健所に事前相談済。

実際の現場で守るべきポイント

  • 開封・分注してよいのは清涼飲料や医薬部外品に限る
  • 医薬品ドリンク剤は原則試飲NG。どうしても実施したい場合は保健所に相談
  • 紙コップでの提供=小分け扱いになるため要注意
  • 来店者に口頭で成分や効能を説明する場合は登録販売者または薬剤師が対応

まとめ:医薬品ドリンク剤の試飲は原則NG、小分け提供には特に注意を

結論として、医薬品に該当するドリンク剤を紙コップなどに小分けして試飲させる行為は、薬機法上基本的に禁止されています

一方で、医薬部外品や清涼飲料水であれば試飲が可能な場合もありますが、店舗独自の判断ではなく、必ず保健所やメーカーに確認を取ったうえで実施することが望ましいです。

登録販売者として法令遵守を徹底しつつ、安全かつ効果的な販促活動を行うための参考にしてください。

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