業務中に社用車で事故を起こした場合、弁償や損害の負担について悩む人は多いです。特に会社から一部負担を求められた際、口頭だけのやりとりで良いのか、法的な手続きが必要なのか判断に迷うことも。本記事では、事故後の適切な対応や、従業員として知っておくべきポイントについて解説します。
社用車事故の責任は誰にある?
まず原則として、業務中の事故であれば使用者責任(民法715条)が適用され、会社が賠償責任を負うのが一般的です。従業員に重大な過失や故意がない限り、全額自己負担を求められることは基本的にありません。
ただし、従業員に過失がある場合、信義則上の範囲内で一部の損害を負担することはあり得ます。
口頭での合意だけで支払い義務が発生するのか?
法的には、口頭であっても契約は成立します。しかし、後々のトラブル防止のためにも必ず書面化しておくことが望ましいです。
例えば以下のような書類を作成することで、両者の認識のズレを防げます。
- 弁済契約書
- 誓約書
- 給与控除に関する同意書
これらには、金額・支払い方法・期間・控除の範囲などを明確に記載し、双方の署名を入れて保管しましょう。
給与からの天引きは合法か?
給与からの天引きについては労働基準法第24条により、原則として従業員の書面同意が必要です。会社が一方的に控除することは違法となる可能性があります。
そのため、必ず書面で給与控除の同意を取り、内容を明示することが不可欠です。
過失割合と支払金額は適正かを確認
事故の過失の程度によって、従業員が負担すべき金額が変わるのは当然ですが、会社側が恣意的に金額を決めているようであれば注意が必要です。
事故が軽微で、保険が適用されているにもかかわらず高額な請求を受けた場合には、労働基準監督署や法律相談を検討しましょう。
よくあるトラブルと防止策
社用車事故後のトラブルには以下のようなものがあります。
- 口頭での支払約束の内容に食い違いがある
- 約束が書面に残されておらず、後日否定される
- 給与から天引きされたが説明がない
こうしたトラブルを防ぐためには、第三者(上司以外)を交えての面談、内容証明郵便での確認書送付、社労士への相談なども有効です。
まとめ:事故対応は冷静に、書面と相談でトラブルを回避
社用車で事故を起こしてしまった場合でも、過剰な負担を求められることは不当です。支払いを求められた場合は、必ず書面での合意を交わし、内容を明確化することが重要です。
不安な場合は、法テラスや労働相談窓口など、外部の専門機関を活用して冷静に対処しましょう。