経費で買った妻へのプレゼントは返還義務がある?離婚時の法的リスクと経営者家庭の注意点

経営者の配偶者として生活する中で、夫が会社の経費を用いて高価なプレゼントを贈ってくれることがあるかもしれません。しかし、そのプレゼントが実は「経費計上」されていたと知ったとき、贈与なのか資産なのか、法的にはどう扱われるのか気になるところです。本記事では、離婚時の財産分与や贈与の法的解釈、そして経費処理の適法性について詳しく解説します。

経費でのプレゼントは本当に「会社の所有物」になるのか?

まず前提として、法人が購入した物品は、名目上「会社の所有物」とされます。経費で購入された場合、帳簿上も法人資産として計上されていることが多く、私的に使用すること自体が税法上の問題になる可能性もあります。

特に法人の経費として「第三者への贈答」として処理された場合、その贈答先が実際には配偶者だったとすれば、税務調査で問題視される可能性があります。このような処理は、いわゆる「経費の私的流用」に該当する可能性があり、法人・個人ともにペナルティが課されることもあります。

プレゼントされた物の法的な所有権は?

一方で、夫が配偶者にプレゼントとして手渡した時点で、その物の所有権は妻に移転したとみなされるのが一般的です。特に「贈与契約」は口頭でも成立しますので、「プレゼントとして渡された」という事実があれば、所有権は妻側にあると考えるのが通常の民事法上の扱いです。

つまり、贈与された物品を後から「会社のものだから返せ」と主張するのは、法的にはかなり困難です。実際に返還を強制するためには、その物品が形式上だけでなく実質的にも会社の備品として保管・管理されていたなどの明確な証拠が必要となります。

離婚時に返却を求められた場合の対処方法

離婚協議の中で夫から「会社の物だから返せ」と主張された場合、まずはプレゼントされた当時のやり取りや、所有者としての利用状況などを記録・主張することが重要です。

たとえば、誕生日や記念日のプレゼントとして夫から手渡された、高級ブランドのバッグや時計などであれば、その時のメッセージカード、LINE、写真、証人などの記録が所有の証明になります。

税務上のリスクとトラブルの防止策

このようなケースは、税務上の「経費の不適切処理」に該当する可能性があります。万が一税務調査が入った場合、法人に対して追徴課税が課されるほか、贈与を受けた側(妻)にも贈与税の課税リスクが生じます。

プレゼントの受け取り側としても、なるべく受領記録を個人的に残しておく、または高額品については贈与契約書などを残しておくと後々のトラブルを回避しやすくなります。

離婚時の財産分与との関係性

婚姻中に夫婦の一方が取得した財産は、原則として共有財産とみなされ、離婚時には財産分与の対象になります。ただし、明確に「個人への贈与」と認定できるものであれば、特有財産として分与対象から除外される可能性もあります。

したがって、プレゼントされた物が「会社の経費で買った物=返せるべき物」ではなく、「夫個人から妻への贈与=妻の所有物」であると認定されれば、離婚後もその所有権は妻側にあることになります。

まとめ:経費プレゼントのグレーゾーンと今後の備え

経営者の家庭では、経費処理をめぐる贈与品の取り扱いに、思わぬ法的・税務的リスクが潜んでいます。今回のように、夫からのプレゼントが経費処理されていた場合でも、贈与の事実が明確であれば法的には返還義務は原則としてありません。

今後、離婚などの事態に備えて、贈与品についての記録や管理をしっかり行っておくことが大切です。不安な場合は、早めに弁護士や税理士などの専門家に相談し、法的リスクを明確にしておくと安心です。

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