近年、自転車の利用者が増える中で、事故に至らなくても接触未遂や転倒といったヒヤリとする場面が増えています。今回のように、実際には接触していなくても、相手が転倒した場合に「そのまま立ち去ってもよかったのか？」「後日トラブルになることはないのか？」と不安になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、こうしたケースにおける法的な位置付けや適切な対応策について詳しく解説します。
接触がなかった場合でも「事故」と見なされる可能性
法律上、実際に物理的な接触がなくても、「相手の転倒の原因となった行動」が認められると、事故の一因を作ったとして責任を問われることがあります。たとえば、急な進路変更やスピードの出しすぎにより、相手が回避行動を取らざるを得なくなり、結果的に転倒した場合などが該当します。
ただし、今回のケースのように双方が無傷であり、相手が「大丈夫」と言ってそのまま立ち去った場合は、基本的にその場での問題は収束していると見なされることが多いです。
その場で確認すべき最低限の対応とは
相手にケガがないかを尋ねたこと、返答を受けて立ち去ったという流れは、対応としては適切だったと言えます。ただし、理想的には連絡先の交換や、転倒した相手の様子を少し観察するなど、もう一歩丁寧な対応が望ましいとされます。
特に自転車事故では、当初は無傷に見えても、後から不調が出ることもあるため、「後日、連絡を取れる手段を確保する」ことがトラブル防止に繋がります。
警察沙汰になる可能性は？
このようなケースで後日「当て逃げ」や「過失による傷害」として警察沙汰になることは稀ですが、100%ないとは言い切れません。相手が後日症状を訴えて通報した場合、事実関係の確認のために警察から事情を聞かれることもあり得ます。
ただし、その場合でも目撃者がいない限り、接触の有無や過失の程度は証明が難しく、単なる確認程度で終わることがほとんどです。
心配が残る場合の備え方
不安が残る場合は、その日の出来事をメモしておくのがおすすめです。日時、場所、相手の様子、自分の発言などを簡潔に記録しておけば、後日何らかの問い合わせがあっても冷静に対応できます。
また、自転車保険や個人賠償責任保険に加入していれば、万一の請求があっても保険で対応できる可能性があるため、加入状況を確認しておくと安心です。
今後、同様の状況で取るべき行動
今後似たような状況が起きた場合には、次のような対応を心がけましょう。
- 必ず相手の安否を確認する
- 必要であれば警察を呼ぶ（当事者同士の判断が難しい場合）
- 連絡先を交換する
- 周囲の状況（人通りや防犯カメラの有無など）を確認する
相手が強く拒否した場合はそれ以上無理に聞かず、「〇月〇日、〇時頃、〇〇付近で自転車同士が接触しそうになり相手が転倒。『大丈夫』とのことで立ち去った」という記録を残しておくと安心です。
まとめ：誠実な対応と記録がトラブル回避の鍵
今回のケースのように接触がなく、相手も自ら立ち去った場合、法的な責任を問われることは少ないと考えられます。ただし、不安を感じた場合は、その場での記録を残す・保険の確認をしておくなどの自衛策を講じましょう。
トラブルは思わぬタイミングで発生するため、「相手に誠実に接し、記録を残す」ことが何よりの備えとなります。