インターネット詐欺などの加害者が特定できないケースで弁護士に依頼したものの、結果が出ない、着手金だけ取られたなどと感じることは少なくありません。この記事では、詐欺被害にあったときに弁護士へ依頼する際の注意点、発信者情報開示請求の可否、紛議調停の活用方法について、専門的な観点から詳しく解説します。
詐欺事件は弁護士に依頼しても意味がないのか?
詐欺案件のうち、加害者の身元が不明なものは弁護士の対応にも限界があります。特にSNSやフリマアプリなどで発生する個人間取引詐欺では、加害者が匿名であるため発信者情報開示請求が通らない可能性もあります。
ただし、まったく意味がないというわけではありません。弁護士が、契約書・証拠・ログなどを整理し、プロバイダやプラットフォームに開示請求できる場合もあり、成功例も存在します。
発信者情報開示請求と詐欺の関係
発信者情報開示請求は、不法行為があったことを証明できる場合に限定されます。侮辱や名誉毀損は対象になりやすい一方、詐欺の場合は民事上の債務不履行との判断になりやすく、開示対象として認められないリスクが高いです。
そのため、詐欺被害で弁護士がすぐに動けないのはこうした法律上の制約が背景にあるのです。
着手金目的の弁護士とどう見分けるか
着手金を取るだけでほぼ動かない弁護士がいるのは事実です。しかし、全員がそうではありません。依頼前に以下の点を確認しましょう。
- ・類似案件の対応実績があるか
- ・成功報酬制か着手金制か
- ・「成果が難しい」と明言しているか
逆に、「確実に取り返せます」と断言する弁護士には注意が必要です。
紛議調停とは?弁護士とのトラブルを解決する手段
依頼した弁護士に不満がある場合、東京弁護士会の紛議調停などで無償の話し合いの場を持つことが可能です。ここでは、着手金返還や対応内容について弁護士会が仲介してくれます。
ただし、「事件を放置された」というだけでなく、「そもそも受任すべきでなかった案件を引き受けた」という主張のほうが通りやすいとされています。
弁護士に依頼する前に確認すべきポイント
詐欺被害などで弁護士に相談する前に、以下をチェックすることが重要です。
- ・被害内容を具体的に整理しておく
- ・被害者と加害者の関係性(連絡手段含む)
- ・証拠が十分にあるか(スクショ・入金記録など)
- ・無料相談で他の弁護士の意見も比較する
1人目の弁護士に納得できない場合、セカンドオピニオンを求めることは決して悪いことではありません。
まとめ:被害に遭ったときこそ冷静に判断を
詐欺事件の対応は難しく、弁護士のスキルや対応力によって結果が変わることもあります。すべての弁護士が詐欺案件を受任すべきではないという意見も一理ありますが、状況次第では対応可能なケースもあります。まずは正しい情報と適切な法的判断を得るためにも、複数の専門家に相談し、依頼するかどうか慎重に判断することが大切です。