交通事故に遭った際、車両の修理費は保険会社が支払うことが一般的です。しかし、ディーラーで算出した修理見積よりも保険会社の提示額が多い場合、「これは本当に受け取ってよいのか？」と戸惑う方も少なくありません。本記事ではその背景や仕組みについて詳しく解説します。
ディーラーの見積額と保険会社の提示額が異なる理由
事故後にディーラーで修理見積を出してもらった場合、それがそのまま支払い額になるとは限りません。保険会社は社内のアジャスター（損害調査員）によって再度損害額を検証し、そこから適正と判断される金額を提示します。
例えば、ディーラーが提示したパーツ交換に対し、アジャスターが修理で対応可能と判断した場合や、部品代に独自の部品単価表を適用することがあります。そのため、時にはディーラー見積より高くなることもあるのです。
見積額より高い提示＝不自然ではない
多くの人が「提示額は見積より低くなる」と考えがちですが、保険会社の損害評価基準はディーラーとは異なります。保険会社は法令・業界基準に沿って、修理原価、塗装工数、部品価格などを査定するため、より現実的かつ妥当な金額が提示されることがあります。
また、車を修理せず現金を受け取る「全損扱い」や「修理断念」の場合は、車両の市場価値に近い金額が提示されることもあるため、ディーラー見積を上回るケースも珍しくありません。
保険会社の金額をそのまま受け取って問題ないか？
原則として、提示された金額が正式な保険支払い額である以上、それを受け取ることに問題はありません。特に、不当な水増しや違法な請求をしていない限り、保険会社が計算した損害額は法的・契約的に認められる範囲内とされています。
ただし、気になる場合は保険会社に根拠を問い合わせたり、第三者機関（例：損害保険料率算出機構など）に確認してみると安心です。
よくあるケースと注意点
- 修理しない場合でも支払いは受けられるが、修理前提と異なる査定基準になることがある
- 見積以上の金額が提示されたからといって、違法性や過払いになることは基本的にない
- 自分で見積を再確認したい場合は、他の修理業者にも見積を依頼して相場を比較するのも有効
これらを踏まえ、自身の車の状況と希望に応じた選択を行うことが大切です。
まとめ：納得できるまで確認し、正当に受け取ろう
保険会社の提示額がディーラーの見積より高くなることは、査定基準の違いや支払い方針によるものであり、違法ではありません。必要に応じて理由を確認し、納得できれば受け取って問題ありません。自分にとって最良の判断ができるよう、制度や仕組みを知っておくことが重要です。