債務整理の手続き中や返済途中に病気やケガなどで働けなくなることは、誰にでも起こりうるリスクです。収入がなくなった場合、手続きはどうなるのか、返済はどうすればよいのか。本記事では、債務整理中に就労困難となったときの影響と対処法を詳しく解説します。
債務整理の種類によって対応が異なる
債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があり、それぞれ対処の仕方が異なります。
任意整理では返済ができない状態が続くと、和解が破棄され、再び一括請求や督促が始まる可能性があります。一方で、個人再生や自己破産は裁判所を通じた法的手続きなので、就労不能の理由が正当であれば手続き継続・免責へ向かう可能性もあります。
任意整理中に働けなくなった場合の影響と対策
任意整理中に支払いが難しくなった場合は、すぐに弁護士・司法書士に連絡することが重要です。支払いの一時停止や再交渉が可能なケースもあります。
また、長期的に返済困難と判断される場合は、個人再生や自己破産への切り替えを検討することになります。
個人再生中に働けなくなった場合
個人再生は将来の収入を前提とした返済計画が基本ですが、就労不能や入院などの理由があれば「再生計画の変更」や「ハードシップ免責」(返済免除)が認められる可能性があります。
このような判断は家庭裁判所が行うため、診断書や失職の証明などを用意し、再生委員や弁護士と連携して進める必要があります。
自己破産手続き中に収入が途絶えたら
自己破産の場合はそもそも「返済不能」であることが前提の手続きです。収入が途絶えていても免責許可を得ることは可能です。
ただし、失職の原因がギャンブルや浪費にある場合などは免責不許可事由に該当するため注意が必要です。正当な病気や事故による就労不能は基本的に不利益にはなりません。
収入がなくなった場合の生活支援制度も確認を
収入が途絶えた場合は、以下のような制度を活用して生活を支えることも検討しましょう。
- 傷病手当金(健康保険加入者)
- 障害年金または生活保護
- 住居確保給付金や自治体の緊急小口資金
これらを利用することで、一時的に返済を止める・猶予する材料にもなります。
事例:債務整理中に入院し自己破産へ切り替えたケース
40代男性が任意整理中に長期入院を余儀なくされ、返済が困難に。すぐに弁護士へ相談し、任意整理を中止。医師の診断書と入院証明を提出し、3ヶ月後に自己破産申立てが受理され、最終的に免責が下りました。
このように、事情を誠実に説明し、専門家の指導を受けることで出口は見えてきます。
まとめ:身体を壊しても対処法はある
債務整理中に働けなくなっても、すぐに破綻するわけではありません。任意整理→法的整理への移行や再生計画の見直し、制度的支援など、選択肢は複数あります。
大切なのは、ひとりで抱え込まず、速やかに専門家へ相談すること。状況に応じた適切な支援を受けながら、立て直しを図っていきましょう。