自己破産と自動車の処分:車を手放さずに済む条件と実務対応

自己破産を検討する中で、地方在住などの理由から「どうしても車が必要」という方は少なくありません。特に、日常生活や通勤に欠かせない交通手段である場合、自動車を手放すことが大きな不安要素になります。この記事では、自己破産手続きにおいて車を残すことができるかどうか、その判断基準と対応策について詳しく解説します。

自己破産における車の扱いとは?

自己破産では、「自由財産」として認められる範囲を超える資産は処分の対象となり、債権者への配当に回されます。一般的に20万円以上の価値があるとされる車は自由財産ではなく、破産財団に組み入れられる可能性があります。

そのため、中古車査定額が20万円以下であれば、手元に残せる可能性が高くなります。ただし、これはあくまでも目安であり、管財人や裁判所の判断にもよります。

査定額はどのように評価されるか

査定額は複数の中古車買取業者によって異なるため、客観性を確保するために3社以上から査定を取るのが望ましいです。例えば、「A社:15万円」「B社:18万円」「C社:27万円」といった幅のある見積もりが出た場合、管財人はその中で最も高い査定額を参考にすることが一般的です。

この場合、27万円という査定額があると、車が処分対象になる可能性は十分にあります。よって、査定書は必ず提出し、弁護士と相談のうえ対応を決めることが重要です。

7年以上経過していれば必ず残せる?

確かに、7年以上経過している車両については価値が下がっていると見なされ、自由財産として残される可能性が高いです。しかし、例外もあります。たとえば高級車や人気車種、走行距離が少ない車であれば、市場価値が20万円を超えることもあります。

今回のように、2018年式・2019年登録で走行距離9万キロの車でも、中古車市場での需要や状態によっては20万円以上の価値が付くこともあるため、一律に「7年以上経てば大丈夫」とは言い切れません

ローンの有無と所有権の確認も重要

車にローンが残っている場合や、所有者が信販会社・ディーラーになっている場合は、自己破産時に車を引き上げられるリスクが非常に高くなります。まずは車検証で「所有者」名義を確認してください。

ローン完済済みであっても、名義変更がされていないケースもあります。その場合は名義変更の手続きが必要になるため、弁護士に相談のうえ対応しましょう。

どうしても車を残したい場合の選択肢

もし査定額が20万円を超えてしまっても、家族名義にしておく20万円以内で再取得する任意整理に切り替えるなどの対策もあります。ただし、これらは財産隠しとみなされるリスクもあるため、必ず弁護士と相談して合法的な手続きを行う必要があります。

また、生活保護受給者であったり、通院・通学の必要性が認められる場合などは特別な判断が下されることもあります。

まとめ:弁護士と連携して冷静に判断を

自己破産手続きにおける自動車の扱いは、価値、用途、地域事情などによって左右されるデリケートな問題です。査定書は必ず取り、根拠を持って主張できるように準備しましょう。

不安な場合は、弁護士に「残したい理由」と「必要性」をしっかり伝え、最善の方法を一緒に模索することが何よりも大切です。

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