交通事故後の過失割合をめぐる保険会社とのやり取りにおいて、「明らかな証拠があるのに、保険会社が認めようとしない」と感じた経験を持つ方は少なくありません。特にドラレコ映像や警察の現場検証結果があるにもかかわらず、保険会社が一方的な判断を押し通すケースでは、被害者として大きなストレスを抱えることになります。この記事では、そうした場面でとれる具体的な対処法を整理し、冷静かつ法的に正当な対応の指針を提供します。
過失割合の決定権は誰にあるのか?
まず理解しておくべきなのは、過失割合の決定は最終的に裁判所が行うという点です。保険会社同士の話し合いで「割合」が提示されますが、これはあくまで示談交渉の一環であって法的な決定ではありません。
したがって、相手側保険会社(例:あいおいニッセイ同和損保)が一方的な主張を繰り返したとしても、裁判やADR(裁判外紛争解決手続)によって第三者の判断を仰ぐことが可能です。
警察の見解やドライブレコーダーは交渉材料になる
過失割合の話し合いでは、現場検証結果やドラレコ映像などの客観的証拠が非常に重要です。特に次のような内容が映っている場合、修正要素として有力視される傾向にあります。
- 違法な右折(ショートカットなど)の明確な軌道
- 信号無視や優先関係の無視
- スピード違反や一時不停止の状況
弁護士が「明らかですね」と認める内容であれば、法的にも評価される可能性が高く、民事裁判でも有利な証拠となります。
保険会社が対応してくれない場合の主な選択肢
保険会社が頑なな態度を取り続けた場合、以下のような選択肢が考えられます。
- 保険会社の上席や監督部署へのエスカレーション
- 弁護士費用特約を使って法律専門家に交渉を委任
- ADR(交通事故紛争処理センター)に申立てを行う
- 最終的には簡易裁判所に損害賠償請求を提起
ADRは費用が無料で、元裁判官や弁護士が中立的に判断してくれるため、感情論ではなく証拠に基づいた過失割合を再評価してくれます。
弁護士を通じた対応のメリット
弁護士を通して交渉を進めることで、保険会社側の姿勢が変わることは少なくありません。なぜなら、法的判断が明確に示されることにより、不合理な主張が通らなくなるためです。
また、弁護士費用特約が保険契約に付帯している場合、実質無料で弁護士を利用できるため、特約の有無を確認することを強くおすすめします。
実例:ショートカット右折が過失修正されたケース
例1:右折車がショートカットした結果、直進車と接触。ドライブレコーダーで明らかだったため、当初50:50とされた割合が30:70に修正。
例2:保険会社が「供述は関係ない」と主張したが、警察の現場見取り図と映像に基づきADRを申し立て。最終的に示談金が30万円増額。
まとめ:納得できない対応には法的手段を冷静に使おう
保険会社が一方的な主観で過失割合を押し通そうとする場合でも、ドライブレコーダーや警察記録といった客観的証拠があれば、第三者機関を通じて適切な評価を得ることができます。
感情的にならず、「記録に残す」「証拠を提出する」「専門家に頼る」という基本を押さえて対応することが、納得できる解決への第一歩です。