インターネット上でのトラブルにより「発信者情報開示請求」が行われた場合、謝罪すれば請求を取り下げてもらえるのか──本記事では、実務上の可能性とその背景、さらに適切な対応方法について具体例を交えて解説します。
開示請求とは?仕組みと目的を知っておこう
「開示請求」とは、SNSや掲示板などで名誉毀損・プライバシー侵害などがあった際に、加害者のIPアドレスや氏名・住所をプロバイダ等に求める法的手続きです。
裁判所を通じた手続き(発信者情報開示請求訴訟)を経て、請求者は加害者の情報を得ることで損害賠償請求や刑事告訴を進めることができます。
開示請求は「謝罪」で取り下げられることがあるのか
開示請求は私人間の民事手続きの一部であり、相手が請求の目的を達成したと感じた場合、自主的に取り下げることは可能です。
実務上、「謝罪」や「投稿削除」「和解金の支払い」などにより、相手が訴訟の必要性を感じなくなり取り下げに至るケースも一定数あります。
謝罪が有効になる具体的な条件
- 投稿が明らかに本人によるものであり、責任を認めている
- 誠実な謝罪文が相手の納得を得る内容になっている
- 早期の段階で謝罪され、損害拡大を防げている
これらの条件が揃っていれば、相手が「開示までする必要はない」と判断し、請求を取り下げる可能性があります。
取り下げの実例:匿名投稿者が謝罪で救われたケース
ある掲示板での中傷投稿に対して開示請求が行われた事例では、相手側が投稿を認めて謝罪し、損害が軽微だったこともあり、開示請求の途中で取り下げられました。
このケースでは、投稿者が自ら弁護士を通じて謝罪文を送り、相手の弁護士も「謝罪の誠意を考慮し、訴訟は不要」と判断したと報告されています。
注意点:謝罪すればすべて解決するわけではない
一度開示請求が始まると、相手が開示によって法的責任を問う意思が強い場合、謝罪だけでは解決しない可能性が高いです。
また、投稿の違法性が明白であれば、謝罪しても損害賠償請求や名誉毀損による訴訟に発展することもあります。
どう対応すべきか?最適なステップ
- すぐに投稿のスクリーンショットを取得し、自身の投稿か確認
- 弁護士に相談して、謝罪のタイミングや方法を検討
- 相手に誠意を伝える文面を慎重に作成する
特に弁護士を通じて謝罪することで、相手側の信用を得られやすくなり、開示請求の継続を再考させる効果が期待できます。
まとめ:開示請求の取り下げは謝罪で「可能性がある」が慎重な対応を
謝罪すれば必ず開示請求が取り下げられるわけではありませんが、相手が納得すればそのような展開になるケースもあります。
ただし、投稿内容や被害状況によっては、謝罪だけで済まないこともあるため、早い段階で法的助言を受けることが重要です。