交通事故により後遺障害が残った場合、自賠責保険だけでなく、自身が加入している任意保険(人身傷害補償)からも補償が受けられる可能性があります。本記事では、後遺障害等級12級が認定されたケースを例に、自分の保険から何が支払われるのか、どんな条件があるのかを詳しく解説します。
人身傷害補償保険とは?基本の仕組みを確認
人身傷害補償保険は、自分に過失がなくても事故でケガを負った際に治療費や逸失利益、慰謝料などをカバーしてくれる任意保険の一種です。
特徴的なのは「契約者の過失割合に関係なく」補償が支払われる点で、加害者側からの賠償と重複しないように精算が行われる仕組みです。
後遺障害等級12級に認定された場合の補償対象
等級12は「一部感覚麻痺」や「関節の可動域制限」などが該当し、自賠責保険では224万円の後遺障害慰謝料が支払われる等級です。
人身傷害保険ではこの金額を超える損害(逸失利益や入通院慰謝料)があるとき、その差額分を補償してくれる場合があります。
自分の任意保険で受け取れる可能性がある補償
- ① 逸失利益の不足分:加害者側保険がカバーしきれない場合
- ② 入通院慰謝料:人身傷害基準が適用され、裁判基準より低いことも
- ③ 通院交通費や診断書料:一部が対象となる場合がある
なお、すでに「入通院定額給付金」を受け取っている場合でも、それとは別枠で人身傷害保険からの補填を受け取れる可能性があります。
「定額給付金・未加入」でも人身傷害で支払われるのか?
定額給付金(死亡・後遺障害給付金)に未加入でも、人身傷害補償そのものに加入していれば、実損害(逸失利益・慰謝料)の算定により支払われることがあります。
つまり「定額払いの給付金がない=支払いゼロ」とは限らず、示談が進む中で補償の範囲に応じた請求が可能です。
実例:自賠責と相手保険で不足が出た分を人身傷害で補填
後遺障害12級に認定されたAさんは、相手保険会社から逸失利益200万円・慰謝料130万円を提示されましたが、実際の損害がさらに大きかったため、自身の人身傷害から差額の80万円が支払われました。
このように、相手方との示談で補償しきれない金額については、自分の保険が「セーフティネット」として働くことがあります。
補償を最大限に引き出すためにできること
- 保険会社に確認:支払い対象となる後遺障害慰謝料・逸失利益の算出基準を問い合わせる
- 弁護士と連携:相手との示談が進む前に、自身の人身傷害補償と照らし合わせて主張を整理する
- 診断書・通院実績の整理:客観的資料があれば、保険会社も納得しやすい
まとめ:等級12級でも人身傷害保険で補償が受けられる可能性あり
後遺障害等級12級であっても、自分の人身傷害保険に「定額給付金の特約が未加入」だったとしても、実損害に基づいた補償請求は可能です。
自身の任意保険が使えるかどうかは、内容をしっかり確認し、弁護士と協力しながら示談交渉や保険請求を進めるのが重要です。