身に覚えのない不倫を理由に慰謝料を請求された場合、精神的な負担は計り知れません。さらに弁護士や探偵を通じて一方的に「証拠がある」と主張され、調停を申し立てられると、どう対応すればいいのか戸惑ってしまうものです。この記事では、実際に不倫をしていない場合にどう対応すべきか、虚偽の慰謝料請求を受けた際の法的な対処方法を具体的に解説します。
虚偽の不倫慰謝料請求は成立するのか
不倫慰謝料の請求には証拠が必要です。不貞行為(肉体関係)の存在を立証する証拠がなければ、調停や裁判で慰謝料が認められる可能性は極めて低いです。「探偵がついていた」と言われても、その内容が曖昧なものや誤解に基づくものであれば、主張の根拠としては不十分です。
また、「不倫を認めた」と虚偽の陳述を作成された場合でも、録音やメールなどのやりとりが残っていない限り、それが事実として認定されることはありません。
弁護士が虚偽の主張を行った場合の対応
弁護士が相手方の言い分をそのまま主張文書に記載することはありますが、意図的に虚偽の内容を記載していた場合には懲戒請求の対象となる可能性もあります。すでに弁護士会に苦情申し立てを行ったとのことですが、対応が不十分と感じた場合は、内容を整理し証拠を添えて再度申し立てを行うか、別の弁護士に相談することも一つの手段です。
なお、弁護士の行動が民事上の不法行為に該当する場合(名誉毀損など)は、弁護士本人に対して損害賠償請求を行うことも理論上は可能です。
警察に相談した場合に対応してもらえるか
虚偽の陳述や慰謝料請求に対して警察が動く可能性は非常に低いです。これは民事事件であり、警察の介入範囲ではないと判断されるためです。ただし、相手や弁護士から脅迫的な言動や名誉を毀損するような発言、ストーキング行為があった場合には、刑事事件として対応してもらえる可能性があります。
相談に行く場合は、状況を記録した書面や証拠(録音・録画・文書など)を持参すると、相談がスムーズになります。
実際にあったケースと裁判所の判断
過去の判例には、証拠が乏しく「不倫の事実が認められない」として慰謝料請求が却下された事例が多数あります。また、探偵の報告書だけでなく、2人きりでの密会や宿泊の明確な証拠がなければ、不貞行為を立証するのは困難です。
たとえば、あるケースでは「一緒にホテルに入っていく写真」はあったものの、肉体関係を裏付けるものがなく、「交際していただけの可能性もある」として慰謝料は否定されました。
身に覚えのない主張を受けた際の対処法
- 書面で記録を残す:相手方の主張や要求には、書面で丁寧に反論を記載する。
- 内容証明郵便で送付:誤解を招く主張や威圧的な対応を止めるよう、内容証明郵便で正式に通知する。
- 信頼できる弁護士に相談:家事事件に強い弁護士を選ぶことが重要です。
- 証拠保全を徹底する:会話は録音、LINEなどの記録はスクリーンショットで保管。
まとめ:冷静に法的対応を、警察は補助的に
不倫の事実がないにもかかわらず慰謝料を請求された場合、まずは感情的にならず、法的根拠と証拠の有無に注目しましょう。弁護士の不適切な対応には毅然と対応し、必要に応じて弁護士会や警察、裁判所を利用することが重要です。無実であることが明確であれば、むしろ逆に名誉毀損などの損害回復を目指すことも可能です。正しい知識と準備で、自身を守る行動を選びましょう。