ネット上での誹謗中傷は、加害者・被害者の関係性だけでなく、その発言を第三者がどう扱うかによっても新たな問題が生じます。たとえば「〇〇さんが誹謗中傷をしていた」と投稿した場合、それ自体が誹謗中傷や名誉毀損となる可能性もあるため、注意が必要です。
法律相談サイトやQ&Aサイトに投稿するリスク
一般に法律相談サイトや知恵袋、掲示板などに「Aさんが〇〇さんに誹謗中傷をした」と記載する行為は、公然と特定個人の社会的評価を下げる行為に該当する場合があり、名誉毀損として民事・刑事責任を問われる可能性があります。
事実の有無に関わらず、公の場に実名や明確な指摘で投稿することがリスクとなる点に留意しましょう。
名誉毀損・侮辱罪との関係性
誹謗中傷の発信を暴露する投稿が次の条件に該当すると、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当します。
- 投稿内容が具体的で本人を特定できる
- 社会的評価を著しく低下させる
- 投稿が多数の人の目に触れる媒体(ネット等)で行われた
特にSNSや掲示板など不特定多数が閲覧する環境での投稿は、法的リスクが高まります。
ログ保存期間の影響はあるか?
ログ保存期間は加害者を特定するための重要な期間であり、通常はプロバイダが3〜6ヶ月ほど保管しています。被害者が名誉毀損などで開示請求を行うには、保存期間内に申し立てを行う必要があります。
保存期間が過ぎた後では、IPアドレスや投稿記録が削除されてしまい、加害者の特定が困難となる場合があります。ただし、スクリーンショットなどの証拠が残っていれば投稿内容自体の証明は可能です。
相談・通報の形で投稿する場合の注意点
法律相談目的や通報目的で「Aさんが〇〇をした」と記載する場合も、公開範囲と記述内容に配慮が必要です。次の点を意識するとリスクを下げられます。
- 本人が特定できるような情報を伏せる(イニシャルや匿名化)
- 断定的に書かず、「〜と見受けられる」「〜のようだ」と表現する
- 公開設定を限定(非公開、弁護士限定など)する
実際にトラブル回避のために、SNSでの相談を弁護士ドットコムなどの専門サイトに非公開投稿する人も増えています。
事例:過去の誹謗中傷に関連した投稿で訴訟になったケース
実際に「〇〇さんは誹謗中傷をしていた」と記載した人が、名誉毀損で訴えられたケースもあります。たとえば、YouTuberに関する暴露系投稿で、第三者の名誉毀損として100万円以上の損害賠償が認定された事例があり、ネット投稿の慎重さが求められることが分かります。
まとめ:意図しない名誉毀損を避けるために
他人の誹謗中傷を指摘する投稿であっても、それ自体が名誉毀損に該当するリスクがあるため、慎重な判断が求められます。ログ保存期間は加害者の特定に関わる重要な要素ですが、投稿内容の違法性の有無はそれに限りません。相談や指摘は専門家や適切な窓口を通して行うことが、トラブル回避につながります。