自転車と自動車の事故で「痛み分けだから慰謝料はナシ」と保険会社に言われたとき、本当にそれで納得してよいのでしょうか?本記事では、事故後の身体的影響や相手の過失、損害賠償請求の可否、そして痛み分け交渉の落とし穴まで、交通事故対応に必要な法的視点を解説します。
事故後にやるべきこと:まずは医師の診断を
事故後に数日経っても症状が改善せず、捻挫や持病(ヘルニア)が悪化している場合は、必ず医療機関で診断書を取得してください。
診断書がなければ「傷害」としての損害賠償請求の根拠が曖昧になり、保険会社や相手方と交渉する際に不利になります。
「自転車が止まれを無視」しても賠償請求は可能か
たとえ自転車側に「一時停止違反」などの過失があっても、相手車両が制限速度を大きく超えていたなど重大な過失があれば、過失相殺後でも賠償請求の余地があります。
過失割合の目安としては、交差点での出会い頭事故では「自転車30:車70」からスタートし、速度違反などがあればさらに車側の過失が加算される場合があります。
「痛み分け」という提案の法的リスク
相手保険会社が持ちかけてくる「痛み分けで慰謝料なし」という案には注意が必要です。
この提案に安易に同意すると、後から症状が悪化しても追加請求ができない、または示談書により放棄させられる可能性があります。
示談は慎重に判断し、少なくとも治療が終了するまでは結ばないことが重要です。
慰謝料や損害賠償の内訳と計算根拠
損害賠償の請求対象には以下が含まれます。
- 治療費:通院費、処方薬費、リハビリ費など
- 通院交通費:タクシー代や公共交通機関の運賃
- 休業損害:パート・アルバイト含め、事故による収入減
- 慰謝料:通院1日あたり4,300〜8,900円を目安に算定
- 後遺障害慰謝料:ヘルニア悪化等で後遺障害等級が認定されるとさらに追加
損害額が高額化することもあるため、痛み分けで済ませるのは避けるべきです。
弁護士に相談すべきタイミング
・保険会社との交渉が難航している
・慰謝料や過失割合に納得がいかない
・後遺障害の可能性がある
こうした場合は、交通事故に強い弁護士に相談することが非常に効果的です。初回相談無料の事務所も多く、費用対効果の面でもおすすめです。
まとめ
・事故の被害者である以上、過失割合があっても損害賠償請求の可能性は十分ある。
・保険会社の「痛み分け」提案は必ず疑ってかかり、示談前に医師の診断と弁護士相談を。
・慰謝料、治療費、休業損害などの法的権利を放棄しないよう慎重に行動しましょう。