交通事故の被害に遭い長期間通院した場合、誰しも気になるのが「慰謝料はいくら支払われるのか?」という点です。特に、自賠責保険で定められた最低基準や、任意保険会社との交渉でどの程度の金額が妥当なのかが分からず不安になる方も多いでしょう。本記事では、自賠責基準の慰謝料額の算出方法や任意保険との関係、提示額への対応など、交通事故被害者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
自賠責保険の慰謝料はどうやって決まる?
自賠責保険では、1日あたり4,300円の慰謝料が支払われます。これに対して適用される日数は「通院期間(日数)」と「実通院日数×2」のいずれか少ない方となります。
たとえば、5ヶ月間の通院で実通院日数が75日であれば、「75日×2=150日」と「通院期間(約150日)」のいずれか少ない方なので、75日×2=150日となり、4,300円×75日=322,500円が基準額となります。ただし、これは自賠責での支払い上限(120万円)以内に収まる範囲の話です。
120万円を超えると慰謝料はもらえない?
自賠責保険の補償上限は120万円です。慰謝料・治療費・診断書費用・通院交通費などすべてがこの枠に含まれます。
この上限を超えた場合は、加害者側の任意保険が不足分を補償する形になります。したがって、120万円を超えても慰謝料が「ゼロになる」わけではありません。ただし、任意保険は独自の算定基準(任意基準・弁護士基準)で提示してくるため、金額が自賠責基準より低くなることもあります。
任意保険会社の初回提示額の注意点
任意保険会社が初回に提示する慰謝料額は、被害者にとって最低ラインと捉えるべきです。交渉せずにそのまま受け入れてしまうと、本来もらえるはずの金額より大きく下回る場合もあります。
例えば、自賠責基準では32万円以上の慰謝料が想定されるにもかかわらず、任意保険ではそれより低い30万円を提示されることもあります。納得がいかない場合は、法テラスなどで無料相談を活用するか、弁護士基準での再交渉を検討しましょう。
休業損害がない場合でも慰謝料は支払われる?
はい、休業損害がない場合でも、通院実績に応じた慰謝料は原則として支払われます。自賠責基準では、休業損害はあくまで別枠で計算され、慰謝料の算定には影響しません。
ただし、任意保険会社は「実通院日数が少ない」などを理由に慰謝料の減額を提案してくることもあるため、通院の頻度と記録をしっかり残すことが交渉を有利に進めるカギとなります。
実例:5ヶ月通院で慰謝料はいくらになるか
実通院75日・5ヶ月の通院期間であれば、自賠責基準で最大で645,000円(150日×4,300円)の慰謝料が認められる可能性があります。ただし、他の費用との合算で120万円を超えた場合、超過分は任意保険でカバーされることになります。
任意保険会社が提示してくる額が自賠責基準より高くなることは少ないため、交渉によって増額を求める余地があります。特に、弁護士基準では1日あたりの慰謝料単価が高くなり、結果的に受け取れる額も増える傾向にあります。
まとめ
交通事故の慰謝料は、自賠責基準であればある程度計算が可能ですが、120万円を超えた場合や任意保険会社との交渉が絡むと複雑になります。慰謝料がもらえないわけではありませんが、交渉しないと損をする可能性があります。
まずは自賠責基準での正確な計算と、任意保険会社からの提示額の妥当性を確認しましょう。納得できない場合は、弁護士や無料相談窓口を利用して、適正な金額での解決を目指すことをおすすめします。