近年、農業の高齢化や経営の転換により、中古農機具の売買が活発になっています。特にトラクターなどの農機具を買取・販売するビジネスを始めたい場合には、法律上の手続きや必要書類についてしっかり理解しておくことが重要です。この記事では、農機具の買取に必要な古物商許可と、お客様から買い取る際に求められる書類について詳しく解説します。
農機具の買取に古物商許可は必要か?
結論から言えば、中古の農機具を買取・販売する場合には古物商許可が必要です。これは農機具が「機械工具類」に該当し、古物営業法の対象となるためです。
古物商許可は、営業所のある都道府県の公安委員会に申請します。警察署で受付されるため、事前に必要書類や条件を確認しておきましょう。
古物商許可を取得するための主な要件
- 成年であること
- 禁錮以上の刑に処されていないこと
- 住民票・登記簿謄本(法人)・略歴書などの提出
- 営業所を持っていること(バーチャルオフィスは不可)
申請費用は地域によって異なりますが、全国的に1万円台後半から2万円程度です。
お客様から農機具を買い取る際に必要な書類
買取の際に必要となるのが、本人確認書類です。これは、古物営業法により義務付けられており、免許証やマイナンバーカード、住民票などが対象です。
法人からの買取の場合には、会社登記簿謄本の写しなどが求められることがあります。また、相手の担当者の名刺や社員証も確認しておくと安心です。
売買台帳の記録と保存
古物商は、買い取った品物の内容や買取日、相手の氏名・住所などを「古物台帳」に記録し、3年間保存する義務があります。手書きの台帳でも電子記録でも構いませんが、確実に保存できる形式を選びましょう。
不備があると警察の立ち入り検査で指摘されることがあるため、取引のたびに記録を残すことが大切です。
農機具特有のポイント
農機具にはシリアルナンバーや製造番号が記載されていることが多いため、本体写真・型式プレートの記録を残しておくとトラブル防止になります。
また、車両扱いになる大型トラクターやコンバインには「小型特殊自動車」の登録証がある場合もあり、廃車証明や名義変更の手続きも必要になることがあります。
無許可営業のリスク
古物商許可を取らずに買取を行うと、古物営業法違反として罰金や営業停止処分を受ける可能性があります。個人間の譲渡であっても継続的・反復的であれば商行為とみなされ、許可が必要です。
近年、ネット販売やフリマアプリ経由の無許可業者への取り締まりも強化されているため、最初から正式な許可を取得することが重要です。
まとめ:農機具の買取には準備が必要
農機具の買取ビジネスを始める際は、古物商許可の取得が必須です。また、取引のたびに本人確認書類の提示を受け、古物台帳に記録する義務もあります。安全でトラブルのない取引を行うためには、法令遵守と正確な手続きが求められます。
信頼される事業を目指すためにも、必要な知識を備えてスタートしましょう。